化け物尽くし絵巻にのみ見られる妖怪
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 05:37 UTC 版)
「化け物尽くし絵巻」の記事における「化け物尽くし絵巻にのみ見られる妖怪」の解説
以下の妖怪の名称のふりがなは、絵巻物に書かれた原文(その)ママとしている。妖怪達に説明書きはなく、伝承もないため、謎が多い。 汐吹(しほふき) 波間から上半身だけ出し、象のような口から水を吹き上げた状態で描かれている。腕はあるものの、指というよりヒレのような手をしている。また、鼻穴もある。後述する「馬肝入道」や「充面」と耳の描かれ方が同じであり、象のように大きい。名称・描かれ方からも、河童と同様の水妖と見られる。 馬肝入道(ばつかんにうどう) 入道系の妖怪であり、大きな鼻(天狗と類似する)と大耳を持つ。瞳は赤く、白ひげをたくわえている。名前の「馬肝」はその名のとおりウマの肝臓を意味し、死に至るほどの毒を持つという言い伝えがあり、漢方薬の名前でもあるが、この妖怪との関連性は不明。 有夜宇屋志(うやうやし) 跪いているような状態で描かれており、外見はガマガエルや肉塊(寝肥やぬっぺっぽう)のようにも見える。ヒフに白い斑点がいくつもある。 真平(まつぴら) 犬のような顔をしているが、後ろ足が長い。赤いよだれかけのような布を胴に巻きつけ、爪は黒い。 充面(じうめん) 口を一文字にして睨みつけているような顔で描かれている。目の周囲が赤く、黒ひげを生やし、小さな青い帽子をかぶり、青い衣に赤帯、手は袖で隠している。耳も大きく、形は汐吹や馬肝入道と同じ。一種、耳の形状で、人とは異なる存在と強調するのは、西洋の妖精・悪魔などのとがった耳にも見られる。同音語として、苦々しい顔つきを意味する「渋面」がある。 飛代路理(びよろり) 外見はどう見ても蛇行したただの蛇であり、名称からも飛び跳ねると見られるが、多分に言葉遊びが感じられる。 蟹鬼(かにおに) その体形は顔面が前に出ており、蟹というより蜘蛛に似ている(体形上、化け蟹より土蜘蛛や牛鬼の方が近い)。大きな口に鋭い黒い牙が描かれている。 波蛇(なみじや) 高波が竜のようにうねった姿で描かれている。目はあり、2本の角と見られる表現がある。水妖。 滅法貝(めつほうかい) 貝に目と尾がついた姿で描かれている。 為憎(にくらし) 長い髪を振り乱した女性の姿で描かれている。 為何歟(なんじやか) 下半身だけしか描かれていない。上半身はおろか足首も描かれておらず、ほかに例のない、珍しい妖怪とされる。妖怪研究家・大島清昭は、絵解きができないために意味がまったくわからない、妖怪愛好家の中で最も話題になっている妖怪と語っている。
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