動的弾性率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/11 22:30 UTC 版)
動的弾性率(どうてきだんせいりつ、英: Dynamic modulus, Dynamic Elastic Modulus)[1]は、物体の粘弾性を記述する物理量の一つで、弾性率(ヤング率)を拡張した概念である。「振動する応力」と、それによって生じた歪みのフェーザ表示による「比」として定義される。複素数で表わされることが多いため、複素弾性率(ふくそだんせいりつ、Complex modulus)と呼ばれることもある。動的弾性率は、動的な粘弾性特性を、粘弾性物質の応力-ひずみ特性の位相遅れに着目して複素弾性率の偏角として表現したものであり、複素弾性率の実数部にあたる「貯蔵弾性率」、虚数部にあたる「損失弾性率」の2つの項に分解できる。同様に、剛性率についても同様に動的剛性率が定義されるので、併せて説明する。
- ^ a b c d e f Meyers and Chawla (1999): "Mechanical Behavior of Materials," 98-103.
- ^ http://www2.kobe-u.ac.jp/~komoda/kyougen/komoda_05.pdf
- ^ PerkinElmer "Mechanical Properties of Films and Coatings"
- 1 動的弾性率とは
- 2 動的弾性率の概要
- 3 関連項目
動的弾性率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 01:18 UTC 版)
「動的弾性率」も参照 静的粘弾性測定では、力を加えられた瞬間のポリマーの粘弾性変化を評価する。これとは別に、ひずみが一定周波数で与えられたときの粘弾性が求められることもある。動的粘弾性測定法(英語版)の一つ、強制振動法では振幅 γ0、角周波数 ω でひずみを周期的に(ひずみ-時間関数が正弦波となるように)長時間にわたって物質に加える。このとき、ひずみは γ = γ0 sinωt と表わされる。応力 σ の測定値は、試料が完全弾性体ならばひずみと同位相であり、完全粘性体ならばひずみと π/2 の位相差を持つ。ポリマーのような粘弾性体ならば位相差 δ は 0 から π/2 の範囲に存在する。 完全弾性体: σ = σ 0 sin ω t {\displaystyle \sigma =\sigma _{0}\sin \omega t} 粘弾性体 : σ = σ 0 sin ( ω t + δ ) ( 0 < δ < π 2 ) {\displaystyle \sigma =\sigma _{0}\sin(\omega t+\delta )\qquad (0<\delta <{\frac {\pi }{2}})} 完全粘性体: σ = σ 0 sin ( ω t + π 2 ) {\displaystyle \sigma =\sigma _{0}\sin(\omega t+{\frac {\pi }{2}})} 粘弾性体の剪断応力の式は以下のように変形できる。 σ ( t ) = ( σ 0 γ 0 cos δ ) γ 0 sin ( ω t ) + ( σ 0 γ 0 sin δ ) γ 0 sin ( ω t + π 2 ) {\displaystyle \sigma (t)=\left({\frac {\sigma _{0}}{\gamma _{0}}}\cos \delta \right)\gamma _{0}\sin(\omega t)+\left({\frac {\sigma _{0}}{\gamma _{0}}}\sin \delta \right)\gamma _{0}\sin(\omega t+{\frac {\pi }{2}})} 右辺第一項は弾性、第二項は粘性に対応する。それぞれの係数は G′, G″ と表す。 G ′ = σ 0 γ 0 cos δ {\displaystyle G'={\frac {\sigma _{0}}{\gamma _{0}}}\cos \delta } G ″ = σ 0 γ 0 sin δ {\displaystyle G''={\frac {\sigma _{0}}{\gamma _{0}}}\sin \delta } 弾性的な成分の係数 G′(ω) は剪断貯蔵弾性率 (shear storage modulus)、粘性的な成分の係数 G″(ω) は剪断損失弾性率 (shear loss modulus) と呼ばれる。それぞれ、力を加えられたときに仕事としてポリマーに蓄えられるエネルギー、熱としてポリマーから失われるエネルギーに対応する。剪断貯蔵弾性率も剪断損失弾性率も G(t) と等価な量である。
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動的弾性率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/07 21:37 UTC 版)
詳細は「動的弾性率」を参照 粘弾性は動的弾性率で表現できる。応力を周期的に与え、応力と時間の関数が正弦波を示すようにすると、完全弾性体ではひずみ-時間関数の挙動は応力-時間関数の挙動と一致する。応力がゼロ点と極値(極大値と極小値)をとる時間はひずみと同じとなる。完全粘性体のひずみ-時間関数は応力-時間関数とπ/2の位相差を持つ。応力がゼロ点となるときひずみは極値を取り、応力が極値となるときひずみはゼロ点を示す。粘弾性体では、ひずみ-時間関数と応力-時間関数との位相差は-π/2からπ/2の間に存在する。
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