動物実験の方向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 06:18 UTC 版)
「動物実験代替法」も参照 近年、世界各国で動物福祉や倫理上の問題から、動物実験に反対する団体の行動が活発化している。動物の権利とは、一つの考え方であり、人間が動物を等しく扱うことについては、議論がある。フランシオンなどの動物の権利論者は動物実験の全廃を求めている。 研究機関や製造業の業界では、動物実験そのものを最小限に抑える、必要な場合は麻酔などを用いて苦痛を最小限に抑えるほか、細菌や昆虫といった他種の生物や培養細胞、コンピュータでのシミュレーションなどに置き換える代替法を開発するなどの手法が取られつつある。こうした動きは1990年代頃から見られ、動物実験(特に、サルなどの大型動物)を多用する研究の見直しなどが進んでいる。しかしながら、培養細胞を用いた系では実際の個体内における総体的な生理的・生化学的機構と大きく異なる点も多く、全ての情報を得ることは不可能である。 近年EU圏内では、動物実験反対運動の活性化とともに「動物実験」および動物実験をした製品の販売禁止の方向に向かっていたが、大手化粧品メーカーの反発のために実現が延期されてきた。しかし、EUでの動物実験禁止、及び動物実験の行われた化粧品・原料の販売禁止が実行されることは時間の問題とされており、動物実験にかわる代替法の活用は企業がグローバルな枠組みの中で成長していくなかでもはや無視しては通れない問題となっている。動物実験を行わずに開発した化粧品や工業製品にクルエルティフリーと表示し、差別化を図る動きも見られる。 EUでは、1990年代から動物実験が段階的に規制され、2009年にはいくつかの毒性試験は例外とされながらも、動物実験を用いて開発された化粧品の販売が禁止された。2013年3月11日からは全ての動物実験が禁止対象とされた。これは輸入される域外製品にも適用される。
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