助動詞など
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/18 22:59 UTC 版)
断定 断定の助動詞(コピュラ)には「じゃ・や」があるが、「じゃろー・やろー」「じゃった・やった」の形で使われる。普通は「じゃ・や」をそのまま文の終止に用いることはなく、代わりに「ばい」「たい」を用いる。高年層が「じゃろー・じゃった」、中年・若年層が「やろー・やった」を用いるという傾向がある。 打ち消し 動詞の否定は、未然形に「ん」を付けて表す。過去打ち消しには「行かんじゃった」(行かなかった)のような「んじゃった」や「んやった」を用い、平戸市・北松地域では「じゃった」(例:行かじゃった)も用いる。 進行相と完了相 長崎弁をはじめ九州方言では、進行相と完了相を言い分ける。長崎県では、進行相には「よる」を、完了相には「とる」が用いられる。一部の地域では完了相に「ちょる」を用い、諫早方言の進行相には「よる」のほかに「おる」も用いる。これらは「降りよる」「降っとる」のように動詞の連用形に付くが、「良かりよった」のように形容詞に付くこともある。 推量・様態・比況 推量には「じゃろー・やろー」が用いられるほか、形容詞では「無かろー」のような形も使う。また動詞でも未然形に「う」を付けたものを用いることができるが、その場合は普通文末詞「だい」を付ける(例)はりゅーだい(晴れるだろう。はれう→はりゅー)。ただし長崎方言では「だい」を付けない。様態や比況には「ごと・ごとある・ごたる」を用いる。 可能表現 可能表現では、能力可能と状況可能で別の言い方をする。能力可能には、「ゆる」(下二段活用)と「きる」(五段活用)が動詞の連用形に付けて用いられる。状況可能には「るる・らるる」(下二段活用)を動詞の未然形に付けて用いる。「きる」は九州で広く使われ、「ゆる」は長崎県・佐賀県で使われる。長崎方言では不可能を表す「ださん」も使われる。 [例] (能力可能)「まだこもーして じてんしゃに のりきらん」(まだ小さいので自転車に乗れない。「こもー」は「こまか」の連用形) [例] (状況可能)「こんめしゃ ねまっとっけん くわれんばい」(このご飯は腐っているから食べられないよ) [例]「まちさん いこーち おもーとったばってん いそがしゅーして いきださんじゃった」(町へ行こうと思っていたが、忙しくて行けなかった) 敬語 尊敬の助動詞には、「なる」、「なさる(なはる)」(以上2つは連用形に付く)、「す・らす」、「る・らる」(以上二つは未然形に付く。「す・る」が五段・サ変に、「らす・らる」がそれ以外に付く)が使われる。「なる」が頻用されるほか、「す・らす」も手軽な敬語として広く使われる。また大村市を中心に熊本弁と共通する「なす」を、諫早方言で「しゃる」「んしゃる」を用いる。
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