劇映画の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 14:45 UTC 版)
監督の仕事は、完成した脚本を受け取ってから始まる(それ以前にも脚本を完成させるための議論に参加するなどの仕事が発生するが、脚本が完成するまでは、基本的に脚本家の仕事である)。ただし、監督自らが脚本を書く場合も少なくない。また、完成脚本に手を入れることで、結果的に脚本家との共同脚本としてクレジットされる場合もあれば、監督が手を入れていても特にクレジットはされない場合もある。 配役。どういう役に、どういう俳優を割り当てるかについて関与する。ただし主役級の俳優は、プロデューサー等によって決定済の場合もあり、その場合は基本的にはプロデューサーが指定した俳優で進めざるを得ない。また配役の専門の責任者であるキャスティング・プロデューサーが置かれる場合もあり、監督が全ての配役を決定しているわけではないことは多いが、決定に際しては何らかの意見を求められるのが一般的である。 ロケハン。撮影を行う場所を決定する。 衣裳合わせ。各シーンごとに、それぞれの俳優が着用する衣裳や、手に持つ小道具等を決めていく。監督の美意識がストレートに反映される部分であるため、最終決定権は監督にある。また、各人の衣裳により、カメラの位置、照明の方法、セットの組み方等も変わってくるため、各部門のチーフ級のスタッフも参加する。よって、これが俳優と各スタッフの、事実上の「初顔合わせ」の場になることが多い。 撮影。管理する。カメラ・ポジション(撮影場所)や画角、カメラの動き方を決め、絵柄を確定する。役者への演技指導を行う。撮影中の動きなどを把握した上で、OK/NGの判断をする(NGの場合は更に同じショットを繰り返して撮影する。撮影は「テイク」とも言うが、その回数で「テイク○」(○は数字)と称する)。日本のテレビの場合は本番に入る際にディレクターが「3、2、1、キュー」と合図するのが一般的だが、映画では、監督の「よーい」に続き、助監督や各部門の助手らが「本番よーい」等と復唱し(これは、スタッフやキャスト全員に号令を行き渡らせるためでもある)、続いて監督の「スタート」、「アクション」と共に助監督がカチンコを鳴らして、本番に入る。その後はテレビでも映画でも共通で、予定された部分まで演技が進むか、または、NGの演技が出た瞬間に「カット!」と叫んで撮影を止める。NGでない場合、スクリプター(スクリプト・スーパーバイザー)らとも相談し、問題なければ「OK」として、次の撮影に進む。 編集。撮れている映像から必要なものを抜き出してつなぐ。映像と映像のつなぎ方などを決定する。音楽や効果音を付けるかどうか、付けるとした場合はその付け方を決定する。監督によっては、簡単な指示を与えて編集担当者に全面的に任せる場合、編集者をオペレーターとして全面的に編集の指示を与える場合もある。またアメリカのようにプロデューサーが編集にかかわり、監督に編集権がない場合もある。
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