創造、維持、破壊/再生という3つの役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/22 05:06 UTC 版)
「三神一体」の記事における「創造、維持、破壊/再生という3つの役割」の解説
トリムールティの役割分担がどのようにして決まったのかについては議論が残る。原始的なトリムールティでは3柱が完全に同格であり、それぞれの役割は交換可能だったとする考え方もある。 ホンダの見方では、ヴィシュヌとシヴァのキャラクターは古代のインド人が自然に感じた神性を象徴しているとする。ヴィシュヌには全ての生物がそこに依存せざるをえない宇宙を遍く満たす、力強く、慈悲深いエネルギーが表現されており、一方のルドラ・シヴァには粗野で御しがたく、気まぐれで、危険な自然が表現されている。そこからそれぞれのキャラクター、英雄譚は発展し西暦前までに出来上がっているとする。 ベイリーはブラフマー神はブラフマンを神格化したものだとしている。また彼によれば、マハーバーラタではブラフマーが創造の役割を担い、ヴィシュヌが維持の役割を担うとする言及が随所にみられるが、シヴァの破壊という役割に関してははっきりと描写されていない。破壊的な属性を感じさせるエピソードはあるものの、ほのめかしにとどまっている。そのためベイリーは、シヴァの役割はマハーバーラタの後に徐々に固まっていったのではないかとしている。 アンゲロ・デ・グベルナティス(英語版)はプラーナ文献に見られる3柱のキャラクターについて、ブラフマーは自分の神秘的な力を、ヴィシュヌは自分の英雄的資質を、シヴァは精力と富を享受している、と表現している。加えて順に賢者、強者、金持ちといった社会的立場に対応するとも記している。ベイリーによればデ・グベルナティスの示す神秘的な力、英雄的資質、繁殖力というそれぞれのキャラクターはそれぞれのカルパ(宇宙の寿命)においてトリムールティが担う創造、維持、破壊という3柱の役割と矛盾しない。しかしそれでもなお、シヴァの役割には曖昧さが残るとも語っている。シヴァの役割は破壊であり再生であるとされ、プラーナの神話に描かれるシヴァは繁殖力を象徴することが多い。シンボルとされるリンガもやはり繁殖力を象徴している。一方でシヴァは色欲とは無縁のヨーガ修行者としての顔も持つ。このことに関してベイリーはシヴァの受け持つ第3フェイズの役割は一言で説明しきれないからではないかとしている。
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