利用傾向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/05 14:15 UTC 版)
悪用を目的としたもの 偽名を使うことによって、犯罪人は実名を知られることなく罪を犯すことができる。例えば、銀行口座の開設の際に偽名を用いて、他人から料金をだまし取る行為などに使われる。このような行為を防止する意味で、近年では金融機関での口座開設の際には、本人証明書類の提出が求められるようになった。 個人情報流出を避ける目的のもの 風俗店での予約においては、予約者を識別するために氏名を明らかにするように求められる。個々の事情により風俗店を利用していることが他者に発覚すると不利益をこうむる場合には、偽名を用いる例もしばしば行われる。その一方、衆人の注目を集める側が自身の身分を隠して、宿泊施設などを利用する場合などにも用いられる。ことスキャンダルや疑獄事件では、自宅などに報道陣が集まっている場合に、それら報道機関関係者らとの衝突を避ける意図で、偽名により宿泊先を転々としたケースも過去に散見される。 映画作品、ゲーム作品などスタッフロールに偽名が使われる場合もある。これは、スタッフロールに本名を使うとそれが足掛かりとなってスタッフが同業他社からのヘッドハンティングに遭う恐れがあるため、という考えからなる。日本では昭和末期から平成初期にかけてこのような使い方が多かった。 無用な社会的摩擦を避ける目的のもの 過去に犯罪を犯した者が、更生し人生を再出発しようと決意しても、本人の周囲では名が広く知られているため、周囲から偏見の目で見られる例は少なくない(プライバシー面の配慮への問題点も指摘されてはいるが、それでもインターネット検索を行なえば重大事件に関わった人の名前は比較的容易に発見できる事が多い)。この場合、無用な社会的摩擦や圧力を避けるため・さらには人生の再出発の意味も込めて、本名とは違った名を使う(法的な手続きを踏んで戸籍名も正式に改姓・改名する例もある)者もいる。また、日本在住で中国系・韓国系など、アジア系にルーツがある者のうちには、日本の社会に生きるうえで無用な摩擦は避けたい・しかし帰化することで出身国との絆が断たれる事には後悔の念がある、といった発想から、日本人的な名を名乗る者もいる(通名)。 政治的な弾圧から身を守るためのもの 非合法の政治団体に所属する人々は、公安警察の目を欺くために偽名を用いることが多い。例えば、ロシア革命に参加したレーニン、スターリン、トロツキーは、いずれも偽名である。 スティグマ、偏見の害から家族および自分自身を守るため ハンセン病療養所において、スティグマ、偏見から家族、自分自身を守るために偽名、仮名が使われたのは普通のことであった。日本のみならず、アメリカでも同様であった。
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