初期要件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:33 UTC 版)
「UH-60 ブラックホーク」の記事における「初期要件」の解説
1960年代後半、アメリカ陸軍はUH-1 イロコイを置き換えるために汎用戦術輸送機システム (UTTAS) プログラムを立ち上げ、同時に新型ヘリコプターに使用される新型ガスタービンエンジンの開発にも着手した。これはその後、ゼネラル・エレクトリック T700として採用されている。 ベトナム戦争ではUH-1が多数撃墜されているように、ヘリコプターによる任務では低空を低速で飛行することが多く、小火器や対空砲などの標的になりやすい。そのため重要な性能として、生存性と信頼性の改善を挙げており、UTTAS並びに新型パワープラントの要件として定め、1972年1月に提案依頼書 (Request for Proposals, RFP) を発布している。その結果、UH-60は激しい攻撃を受けながらも生存率が高く、戦闘地域から離脱することができたと報告されている。RFPには航空輸送の要件が含まれており、C-130 輸送機に搭載するため、キャビンの全高、全長が指定されている。 信頼性の向上、生存性および低ライフサイクルコストなどを定めたUTTAS要件は、結果として戦闘高度や高高度などでの性能を向上させる双発エンジンの採用などに繋がっている。整備箇所を減らすことに繋がるモジュラーデザイン、乾式ギアボックス、被弾に備えた油圧、電気、操作系統の冗長化、墜落に対する耐衝撃性能を有する乗員並びに搭乗員の座席、降着装置のデュアルダンパー化並びに耐被弾性能。静粛性が高く耐被弾、耐衝撃性能を有するメイン並びにテールローター、耐衝撃燃料システムなどが要件として定められている。なお、採用前のテスト飛行で墜落事故を起こしているが、死者は無く、メインローターの修理のみで飛行可能であったという。 1974年10月に初飛行を行ったYUH-60Aは4機が製作されている。アメリカ陸軍への試作機の納入に先立ち、安全に試験飛行が行えるか予備評価試験が1975年11月に行われている。この試作機の内3機は1976年3月にライバルであるボーイングに先んじて納入され、残りの1機は内部検証用にシコルスキーによって確保されている。アメリカ陸軍は1976年12月に暗視装置や夜間航法装置を装備した形でUH-60の生産開始を指示し、UH-60Aの納入は1978年10月に始まり、1979年6月に正式運用が開始されている。
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