切迫流早産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/04 09:36 UTC 版)
妊娠22週未満に子宮収縮または子宮収縮による下腹部痛を認められるが、子宮口の拡大といった頸管の熟化が認められない場合は切迫流産の可能性がある。医療機関の受診を行い、超音波検査によって胎嚢や胎児心拍の確認を行い妊娠継続が可能かを評価したのち、安静にて対応することが多い。また、進行流産への進展を防止する目的で子宮収縮抑制薬や止血薬が処方されることが多いほか、血腫の形成などが認められた場合などは入院管理となることも多い。 妊娠12週未満の場合 薬によって胎児奇形を招きやすい時期であるため、子宮収縮抑制薬ではなく、鎮痙薬を用いるのが一般的である。ダクチル50mg(3T3×食後)の処方となることが多い。出血を伴う場合は止血薬であるアドナ30mg(3T3×食後)、トランサミン250mg(3C3×食後)の処方が追加される。 妊娠16週未満の場合 妊娠12週以後ではズファジランの安全性が確立しており、ズファジラン10mg(3T3×食後)といった処方はよく用いられる。妊娠16週以後ではウテメリンを用いることが多いが、動悸の出現などウテメリンの副作用が気になる場合、16週以降でもズファジランを用いることもある。出血を伴う場合、止血薬であるアドナ30mg(3T3×食後)、トランサミン250mg(3C3×食後)の処方が追加される。 妊娠16週以降の場合 妊娠16週以降の切迫流産および切迫早産の場合、ウテメリン5mg(3T3×食後)の投与を行う場合が多い。この時期になると感染による切迫流早産が多く、特に絨毛膜羊膜炎の可能性が非常に高くなってくるため、腟分泌物の精査が必要である。ウテメリン内服にてコントロールがつかない場合はウテロンの点滴やマグネシウム製剤の使用が検討され、入院加療が必要となってくる。感染兆候が認められた場合、胎児への影響が少ないセフェム系の抗菌薬、セフゾンなどが処方される場合が多い。なお、22週以降の生理的子宮収縮は10回/day程度であり、30週未満ならば3回/hour,30週以降ならば5回/hourの頻度の子宮収縮が認められた場合、病的な可能性が高い。収縮数のほか頸管の熟化も重要な所見であり、疑わしいと考えられたら医療機関での相談が望ましい。
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