分子イオンとは? わかりやすく解説

分子イオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/17 06:11 UTC 版)

硝酸イオンの電位マップ。赤色の領域は、黄色の領域よりも電子密度が小さい。

分子イオン(ぶんしイオン、: molecular ion)または多原子イオン(polyatomic ion) は、共有結合または錯体を作る2つまたはそれより多くの原子から構成されるイオンである。酸塩基化学においては単一の構造として働き、塩(えん)を形成する。かつては、必ずしも電荷を持たず、不対電子を持つラジカルの意味でも用いられていた。

例えば、水酸化物イオンは、1つの酸素原子と1つの水素原子から構成されており、OH-と表わされ、-1の電荷を持つ。アンモニウムイオンは、1つの窒素原子と4つの水素原子から構成され、NH4+の化学式を持ち、電荷は+1である。

分子イオンは、しばしば中性分子の共役酸または共役塩基と考えられる。例えば、硫酸イオンSO42-は、SO3+H2Oに分解されるH2SO4に由来する。

命名

分子イオンの命名には、2つの規則がある。1つ目は、biという接頭辞が付けられると、化学式に水素が1つ加わり、電荷が1増加する。biの代わりにhydrogenという言葉が用いられる場合もある。H+CO32-から構成されるHCO3-は、bicarbonateまたはhydrogen carbonateと呼ばれる。

多くの分子イオンは、非金属元素酸化物由来の酸の共役塩基である。例えば、SO42-は、H2SO4に由来する。

2つ目の規則は、イオンの酸素原子の数に着目したものである。塩素オキソアニオンを例にとると、以下のようになる。

酸化数 −1 +1 +3 +5 +7
陰イオン名 塩化物イオン 次亜塩素酸イオン 亜塩素酸イオン 塩素酸イオン 過塩素酸イオン
化学式

まず、基本となる名前は、-ateという語尾を持つ。1つ酸素が付加されると、perという接頭辞が付けられる。酸素が1つ減ると-ateの語尾が-iteに変わり、もう1つ減ると-iteの語尾はそのままでhypoという接頭辞が付けられる。これら全ての場合において、電荷は影響を受けない。

以上の規則は、全ての分子イオンに適用はできないが、ほとんどの場合(硫酸イオン、リン酸イオン硝酸イオン塩素酸イオン)に適用可能である。

分子イオンの例

以下の表は、分子イオンの例である。

陰イオン
酢酸イオン

分子イオン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/27 23:50 UTC 版)

ヘリウム二量体」の記事における「分子イオン」の解説

He2+は、半共有結合結合する関連イオンである。ヘリウム放電により生成しうる。電子再結合し、電気的に励起したHe2(a3Σ+u)エキシマ分子形成する。どちらの分子もずっと小さく通常の原子間距離大きさに近い。 ヘリウム二量体2価陽イオンHe22+は非常に反発力強く解離すると835 kJ/molという大きなエネルギー解放するイオン動力学安定性は、ライナス・ポーリングにより予測されている。33.2 kcal/molのエネルギー障壁がすぐに崩壊するのを防いでいる。このイオンは、水素分子等電子的である。He22+は、2価電荷をもちうる最小分子である。質量分析により検出できる負電荷を持つヘリウム二量体He2-は、He22+をセシウム蒸気中に通すことによって、1984年BaeCoggiolaPetersonによって発見された。その後H. H. Michelsが理論的にその存在確認しHe2-の4Πg状態は、He2a2Σ+u状態に対して束縛されていると結論付けた計算され電子アフィニティーは、He-[4P-]イオンの0.077 eVに対して、0.233 eVであった。He-は、τ-350 μ秒で長寿命の5/2gとτ-10 μ秒で寿命の3/2g及び1/2gに崩壊する。4Πg状態は、1σ2g1σu2σg2πu電子配置持ち電子アフィニティーは0.18±0.03 eV寿命135±15 μ秒である。v=0振動状態だけがその長寿命原因となっている。 ヘリウム分子陰イオンは、電子により22 eVより高いエネルギーレベルに活性化した液体ヘリウム中でも見られる

※この「分子イオン」の解説は、「ヘリウム二量体」の解説の一部です。
「分子イオン」を含む「ヘリウム二量体」の記事については、「ヘリウム二量体」の概要を参照ください。

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