出発から離陸まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 23:25 UTC 版)
「アメリカン航空587便墜落事故」の記事における「出発から離陸まで」の解説
東部標準時11月12日8時51分に定期通報されたJFK空港の気象情報によると、風は310度の方角から風速11ノット(秒速5.7メートル)、視程は10マイル(約16キロメートル)で高度4,300フィート(約1,300メートル)に僅かな雲があった。 9時1分33秒、地上管制はAA587便に滑走路31Lまでの地上走行を許可した。続けて地上管制は、日本航空47便(以下JL47便)の後ろについて飛行場管制 (local controller) に通信設定するようAA587便に指示した。JL47便はボーイング747-400型機だった。 9時11分8秒、飛行場管制はJL47便に離陸許可を与え、同便は離陸した。およそ30秒後、飛行場管制はAA587便に対して後方乱気流(ウェイク・タービュランス)への注意を促した上で滑走路31Lで待機するよう指示した。 9時13分21秒、機長は操縦を担当するよう副操縦士に伝えた。フライト・データ・レコーダー (Flight Data Recorder; FDR) によると、墜落まで自動操縦装置は使用されなかった。 9時13分28秒、飛行場管制はAA587便に離陸を許可した。9時13分35秒、副操縦士は機長に先行機との距離が充分か尋ね、機長は「滑走するから大丈夫、我々が浮揚するまでに5マイル(約8キロメートル)離れるさ」と答えた。 後方乱気流とは、飛行機の後方に発生する乱気流である。その一種である翼端渦は、翼の両端から発生する螺旋状の渦流であり、周囲の空気を巻き込みながら成長して数分間持続する。飛行するために大きな揚力を必要とする飛行機、すなわち重量の大きい飛行機ほど強い翼端渦が発生する。低空を飛行する軽量機が翼端渦に巻き込まれると墜落の危険もある。翼端渦を避けるため、飛行機の最大離陸重量に応じた間隔をあけて飛行することが規則に定められていた。JL47便(747型機)とAA587便(A300型機)の場合、時間にして2分または距離にして7.4キロメートルあけることになっていた。 AA587便は9時13分51秒に離陸滑走を開始し、9時14分29秒に浮揚した。先行するJL47便との時間差は1分40秒であった。事故後の調査によると両機間の距離は常に水平で8キロメートル(約5マイル)、垂直で1,160メートル以上離れていた。9時14分43秒、飛行場管制はAA587便に左旋回してJL47便と同じ経路を取り、ニューヨーク・ターミナルレーダー進入管制 (Terminal Radar Approach Control ; TRACON) に通信設定するよう指示した。9時15分5秒、TRACONの管制官はAA587便に対し高度13,000フィート(約4,000メートル)へ上昇するよう指示した。9時15分29秒、機長は「クリーン・マシーン (clean machine)」 を宣言した。これは、降着装置と高揚力装置が全て収納されたことを意味する。
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