公正競争規約との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/05 15:32 UTC 版)
「インスタントコーヒー」の記事における「公正競争規約との関係」の解説
日本の公正競争規約上では、インスタントコーヒーを「コーヒーいり豆から得られる抽出液を乾燥した水溶性の粉状、顆粒状その他の固形状のコーヒー」と定義している。粉状で湯を注ぐだけで完成するコーヒーであっても、粒子の中にコーヒー豆を内包する製品の場合、日本では同規約上レギュラーコーヒーに分類されてしまい、「インスタントコーヒー」を名乗れない。このため、「ソリュブルコーヒー」(「ソリュブル」は「可溶性」の意)と称した場合には、粒子にコーヒー豆を内包するものを含んだ「湯を注ぐだけで完成するコーヒー製品全般」を意味するとして、インスタントコーヒーと区別する見解がある。 実際に2013年9月には、ネスレ日本がすでに採用済みの「ネスカフェ 香味焙煎」(2010年9月のリニューアル以降より採用)と「ネスカフェ プレジデント」(2011年9月のリニューアル以降より採用。2015年7月をもって一旦製造終了、2016年9月復活)を除く残りのネスカフェ全製品を「挽き豆包み製法」を採用した製品に統一することに伴い、製品の呼称を「インスタントコーヒー」から「レギュラーソリュブルコーヒー」に変更することを発表している。 ただし、コーヒー業界の団体である全日本コーヒー公正取引協議会では、内規でネスレ日本の一連の製品のような「粒子の中にコーヒー豆を内包する製品」について「インスタントコーヒー(レギュラーコーヒー入り)」と表示するよう規定しており、「『レギュラーソリュブルコーヒー』表記では『ドリップで入れるレギュラーコーヒー』と誤認する」と反発する業者もいる。 ネスレは自社の「レギュラーソリュブルコーヒー」について、「コーヒー抽出液を乾燥させて粉状にする」インスタントコーヒーの製法とは異なり、「微粉砕したコーヒー豆を抽出液と混ぜて乾燥させる」という新しい製法を取っていると説明したほか、豆をひく「レギュラーコーヒー」でも、従来の「インスタントコーヒー」でもないと説明し、「ソリュブルコーヒー」をインスタントコーヒーの定義に該当しない新ジャンルのコーヒーと位置付けていた。 しかし、2014年7月に全日本コーヒー公正取引協議会は、同社製品について「インスタントコーヒー(レギュラーコーヒー入り)」と表示されるべきものに過ぎないとして、「ソリュブルコーヒー」という新ジャンル呼称および「レギュラーソリュブルコーヒー」の名称の使用を一切認めないことを決め、「レギュラーソリュブルコーヒー」という名称を、広告において使用することを『不当表示』として制限する公正競争規約改訂案を採択した。 その結果、この規約によってネスレ日本は現在の商品名称での販売・広告展開が不可能になるため、同公正取引協議会および一般社団法人全日本コーヒー協会を脱退した。さらには、当時ネスレ日本の高岡浩三社長が会長を務めていた日本インスタントコーヒー協会・日本珈琲輸入協会をも退会した。今後は業界に縛られない営業活動を展開するという。このため、ネスレの製品は日本で唯一、コーヒー協会のマークがラベルに入っていない。
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