公共事業の拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 17:51 UTC 版)
最終報告の中でアメリカは、「(日本は)輸出につながる産業分野への投資より、公共分野に投資するほうが賢明」であるとし、日本に対しGNPの10%を公共事業に配分することを要求した。海部内閣はこれに応え、10年間で総額430兆円という「公共投資基本計画」を策定した。しかしその後、アメリカ側から「日本の対外黒字の増加を考えれば、公共事業の目標の上積みが必要」との要望があったため、1994年に村山内閣で計画が見直され、社会資本整備費としてさらに200兆円を積み増しし、総投資額は630兆円を計上している。 この投資行動が箱物行政を生み出し、現在の日本の財政難の遠因であるとの指摘がある(しかし、純債務で見れば日本は財政難ではないという意見もある)。具体例としては、運輸省がこれ以上の地方空港は不要とする航空会社の意見を無視して、事業費消化のために「総滑走路延長指標」を用いて、日本の空港を乱立させたことが挙げられる。 このアメリカの要請の背後には、世界に流出する多額のジャパン・マネーがドルの影響力を希薄化させていることを懸念し、ジャパン・マネーを日本国内に閉じ込める狙いがあった。一方、日本の慢性的な対米貿易黒字に対して、国富と雇用を奪われた米国が、外需主導ではなく 内需主導成長を求めたとも言われている。
※この「公共事業の拡大」の解説は、「日米構造協議」の解説の一部です。
「公共事業の拡大」を含む「日米構造協議」の記事については、「日米構造協議」の概要を参照ください。
- 公共事業の拡大のページへのリンク