全面的な想像復元による問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/05 07:24 UTC 版)
「慶州歴史地域」の記事における「全面的な想像復元による問題点」の解説
復元事業が全面的に資料に基づかない想像によるものであるために批判がある。文化財庁の文化財委員会は2016年5月に「計画に不備な点が多く、歴史遺跡区内の建物復元計画に問題が多い」として一時的に計画を抑止しかけたこともあるが、事業は継続中である。歴史の専門家は、復元する遺跡に関する資料や記録がほとんど残っておらず考証が不十分で「想像の都市」を作っているだけであると批判しており、東国大学慶州キャンパス考古美術史学科のハン・ジョンホ教授は、新羅王京の以前の姿は誰もその原形を正確に知らなくて復元整備事業は『再建』に近いとして、ユネスコ世界文化遺産から抹消されかねないと危惧している。 復元事業の最初の完成品となる月淨橋に関しては、元文化財庁長官のイ・コンムや東国大学校教授のカン・ヒョンスクが、月淨橋について判明していることは石垣の場所と橋脚の地点と瓦の破片だけであるが、中国の楼橋に基づいて復元してしまったため過剰に大きく国籍も時代も不明な復元物であるとして批判している。 東宮と月池に関しては、大田大学校教授のイ・ハンサンが、復元資料が殆どなくて判明しているのは発掘で得られた基礎部分だけなのに、上部構造の建築物をどうして復元できるのかと批判している。またチェ・ビョンヒョン教授も東宮の範囲と主な建物を確認することが出来ていない状態で復元作業を行うならば、史劇のセットを作るのと同じであると批判している。さらに忠南大学校教授のイ・カンスンは、建物をたくさん復元すればするほど古都の雰囲気は出ず、逆に現代の都市のように見えるだけであるとして批判している。 皇龍寺の復元に関しては、崇実大学校のチェ・ビョンヒョン名誉教授が、建物の復元に問題があるならば皇龍寺全体の復元計画を取り消すべきとして、計画は新羅時代の遺跡はすっかりなくして21世紀の寺を作るだけのものと批判している。
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