光リン酸化
英訳・(英)同義/類義語:photophosphorylation, photosynthetic phosphorylation
光合成に伴う電子伝達の結果発生する電気化学ポテンシャルを利用して進行するATP合成。
光リン酸化
光リン酸化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/05 18:09 UTC 版)
葉緑体におけるPSIIによるプロトン勾配の形成の駆動は光に依存しているが、PSIIはプロトン勾配の形成のために方向性のある酸化還元反応を利用する。タンパク質を介して物理的にプロトンを輸送するのではなく、プロトンの結合を必要とする化学反応が細胞側で、プロトンの遊離を必要とする化学反応が細胞内側で起こることで結果的にプロトンが移行する。まず、P680(英語版)の2つの電子を高エネルギー状態へ活性化するために、680 nmの波長の光子が吸収される。高エネルギー電子はタンパク質に結合したプラストキノン(PQA)へ移動し、その後非結合状態のプラストキノン(PQB)へ移動する。これによってプラストキノン(PQ)はプラストキノール(PQH2)へと還元され、ストロマから2つの光子を獲得した後PSIIから解離する。P680の電子は酸素発生複合体(英語版)による水分子の酸化によって補充される。その結果、O2とH+がルーメンへ放出される。全体の反応は次のように表される。 4 p h o t o n s ( 680 n m ) + 2 H 2 O + 2 P Q + 4 H + ( s t r o m a ) ⟶ O 2 + 2 P Q H 2 + 4 H + ( l u m e n ) {\displaystyle 4\ photons(680nm)\ +\ 2H_{2}O\ +\ 2PQ\ +\ 4H^{+}(stroma)\longrightarrow O_{2}\ +\ 2PQH_{2}\ +\ 4H^{+}(lumen)} PSIIから解離した後PQH2はシトクロムb6f複合体へ移動し、その後2つの異なる反応で2つの電子がPQH2からプラストシアニンへ移動する。この過程は、電子伝達系の複合体IIIで行われるQサイクル(英語版)と類似している。最初の反応では、PQH2は複合体のルーメン側に結合し、1つの電子が鉄硫黄中心へ移動し、その後プラストシアニンへ移動する。もう1つの電子はヘムbL(英語版)へ移動し、その後ヘムbL、プラストキノンへ移動する。2番目の反応では、2つ目のPQH2が酸化され、他のプラストシアニン分子とPQに電子が付加される。双方の反応によって、4つのプロトンがルーメンへ移行する。
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