傷病補償年金・傷病年金
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 10:21 UTC 版)
「労働者災害補償保険」の記事における「傷病補償年金・傷病年金」の解説
業務災害又は通勤災害による傷病が療養開始後1年6か月を経過しても治らない(固定化しない)場合に、傷病等級(6か月以上の期間にわたって存在する障害の状態によって、1〜3級に認定する)に応じ支給される(第12条の8第3項)。なお、傷病(補償)年金は、休業(補償)給付に切り替えて支給される給付なので、傷病(補償)年金を受給した場合は、休業(補償)給付は受給できない。労働者が、1年6か月経過後1か月以内に「傷病の状態等に関する届」を所轄労働基準監督署長に提出し、(労働者の請求がなくても)所轄労働基準監督署長の職権により支給が決定・変更される。よって時効にかかることはない(昭和52年3月30日基発192号)。平成28年1月からは、「傷病の状態等に関する届」には、申請者の個人番号の記載が必要となる。また、労働基準法にこれに対応する災害補償はなく、労災保険独自の規定である。 年金支給額は、1級の場合は1年につき給付基礎日額の313日分、2級は277日分、3級は245日分となる。障害の程度に変更があった場合は、その翌月から新たな傷病等級に対応した年金額となる(第18条の2)。賃金等の調整規定はないので、事業主から一定の手当等の支払いを受けていたとしても減額されることはない。 療養の開始後3年を経過してなお傷病補償年金を受けている場合(業務災害の場合)は、労働基準法に定める打切補償との関係の問題が生じる。労働者が傷病補償年金を受けている場合、使用者は、療養開始日から3年経過後(3年経過後に受給権が発生した場合は、その受給権発生日)に打切補償を支払ったものとみなして労働基準法第19条に定める解雇制限が解除される。ただし実際の解雇に当たっては労働基準法第20条に定める手続きが必要である。なお、傷病年金の場合(通勤災害の場合)は、3年経過しても解雇制限は解除されない。 その他、社会復帰促進等事業としての傷病特別支給金、傷病特別年金がある。実務上は傷病補償年金・傷病年金の支給決定を受けた者については、傷病特別支給金の申請があったものとして取り扱われている(傷病特別支給金、傷病特別年金については職権で支給決定されるものではない、昭和56年6月27日基発393号)。
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