健常者でのDAFの効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/12 16:03 UTC 版)
「遅延聴覚フィードバック」の記事における「健常者でのDAFの効果」の解説
より最近の研究では、聴覚と発声の脳内メカニズムの知見を得るために、健常者でのDAFの効果を調べられている。 遅延聴覚フィードバックの健常者での利用においては、DAFの効果を打ち消すための間接的な効果として、発話速度の低下、声の大きさの増大、基本周波数の増加などが生じる。 より直接的な効果としては、音節の繰り返し、発音の誤り、および語尾の省略が含まれる。これらの直接的な効果は、「人工的吃音」と呼ばれることもある。 通常の発声における聴覚フィードバック.001秒の遅延で内耳に届く。 遅延聴覚フィードバックによって、この遅延は意図的に変更される。 200ミリ秒の遅延時間のDAFを用いた研究では、4〜6歳の子供では7〜9歳の子供でDAFによって引き起こされる発話の障害が少ないことが示されている。 より年少の子供達は500ミリ秒前後の遅延時間で効果が最も強く、年長の子どもは約400ミリ秒の遅延時間が効果が大きい。 200ミリ秒の遅延時間は、成人に対しては大きな効果をもたらす。これらの研究から収集されたデータが示すのは、最も大きな効果を引き起こす遅延時間の長さはは年齢とともに減少するということである。 しかし、高齢者においては400ミリ秒と効果のある遅延時間はさらに長くなる。 DAFの効果に性差はないが、一般的に男性が女性よりも影響を受けやすいことが示されている 。これは聴覚フィードバックを処理するメカニズム性差がある可能性を示唆している。 一般的に、早口で流暢な話者は、ゆっくりとした話者よりもDAFの影響を受けにくい。また、より早口で流暢な話者は、より短いDAFの遅延時間で効果が大きく、ゆっくりとして話者はより長い遅延時間の下で効果が大きい。 計算論的なモデルと機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を使用した研究によれば、側頭頭頂部は自己監視システムとして機能し、自動音声生成システムをサポートする。また、後部上側頭皮質のフィードバックエラーを検出する聴覚細胞から、右前頭皮質の運動を補正する細胞が投射を受け、発声の聴覚フィードバック制御を介在するとされている。
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