個体間の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 23:05 UTC 版)
個体群を構成する、各個体の間の関係は、言ってみれば、個体群の構造のようなものである。個体群内の個体の分布様式はそれによって大きく変化する。 個体間に働く力を簡単に場合分けすれば、誘引・反発・無関係の3つになる。個体間に誘引が働く場合、個体群の生息区域を見れば、どこかに集まっているだろう。これを集中分布という。個体間に反発が働く場合、個体ごとにバラバラに発見され、互いの距離はある程度の範囲に収まるだろう。これを一様分布という。また、無関係の場合、個体間の距離は、確率に支配され、分布は無作為分布となる。従って、個体間の距離を知ることで、個体間の関係も推察することができる。 個体間に、より複雑な関係が存在する場合もある。 各個体が特定の場所を占有し、その周囲への他個体の侵入を許さない場合、これを縄張りという。縄張りは生活史の一時期だけに作られるものも、長期にわたって保持するものもある。 個体間に強弱の差があって、それが確認された後には、両個体が出会ったとき、互いに違う行動を取るような場合、これを順位という。ニワトリの場合、互いにつつき合うことで強弱がわかると、強い方が弱い方をつつき、弱い方はつつき返さない。すべての個体の間に、どちらがどちらをつつくかが決まっていて、全体ではほぼ一列の順番ができる。一番弱い個体は、全員からつつかれるわけである。これをつつきの順位と呼ぶ。サルなどでは、順位の近いもの同士ではけんかすることもあるが、順位の差が大きい場合にはけんかをしないので、群れの秩序を保つ役割を担っている。このような、社会の秩序を順位が維持しているのを順位制という。 また、多くの個体が集まるのを群れと言うが、群れの中に順位があったり、階層があったりと、一定の組織がある場合、社会性という。ほ乳類では、家族単位の縄張りとか、家族を含む群れとか、様々な複雑な社会関係を持つものがある。 社会性昆虫などに見られる真社会性はまた違った概念である。近年、このことを含めて、動物の社会的行動については、行動を支配する遺伝子が、自然選択の結果、どの様な行動を発展させたかという、社会生物学、あるいは行動生態学の立場から研究が進んでいる。
※この「個体間の関係」の解説は、「個体群生態学」の解説の一部です。
「個体間の関係」を含む「個体群生態学」の記事については、「個体群生態学」の概要を参照ください。
- 個体間の関係のページへのリンク