つつきの順位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/02/14 01:17 UTC 版)
順位制が初めて報告されたのは、ニワトリに関するトルライフ・シェルデラップ=エッベの1913年の研究である。ここではニワトリ間のつつき合いから、つつく側とつつかれる側が区別されることが観察され、それにはっきりした序列があることが認められた。具体的にはもっとも上位の個体はそれ以外のすべての個体をつつき、二位の個体は一位個体以外のすべてをつつく。最下位の個体は誰もつつかず、ビリ二位のものは最下位の個体のみをつつく、という案配である。これはそれぞれの二個体を取り出して一緒にしても同じで、上位が下位を一方的につつく。実際にはごく一部で乱れがあったものの、ほぼ一直線の序列があることが確認された。 ニワトリの集団を作ると、まずあちこちでけんかが始まり、この中でこのような序列が形成される。一旦これが形成されると、下位個体は上位個体を避けるので集団内のけんかの数ははるかに減少する。また、この順位はある程度の期間は維持される。 このような順位はアレーによって1938年に「つつきの順位」(peck order)と名付けられた。これを契機に、人為的な環境に特定の動物を複数閉じこめ、互いの行動を調べ、攻撃の方向を調べることで順位を見る研究が様々な動物で行われた。それらはそこに含まれる各個体間での勝敗、あるいはそれに類するものを書き込んで作られる総当たり星取り表のようなソシオグラムが使われた。それによって、やや異なる状況も見いだされた。たとえばBennetが1939年に調べたモリバトの場合、つつかれる側がつつき返す例があり、どちらが優位であるかは統計的判断が必要であった。また、水槽のメダカでの例では、最優位の個体は明確だが、それ以外の個体間にははっきりした優劣がないと判断された。その他様々な無脊椎動物でも同様の実験が行われ、順位制を認めた例もある。 しかし、これらの研究は人為的な空間に強制的に同居させる実験によるもので、それが自然な集団で見られるものと同じであると見るべきではない。上記のような優劣判断が統計処理によらなければ判断できないような場合、むしろ順位が成立していないと判断すべきだとの声もあり、攻撃を受けた側が反撃せず回避するのが成立していて初めて順位制とすべきだという。
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