位相コヒーレンス問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/20 16:25 UTC 版)
「フェーズボコーダ」の記事における「位相コヒーレンス問題」の解説
位相コヒーレンス問題はSTFTによる時間-周波数表現 (STFT表現) の操作で必ず解決が必要な主要問題である。これは、時間軸方向にオーバーラップした分析窓(窓関数)を使用する事により、個々の信号成分 (正弦波、インパルス) が、複数のフレームやSTFT周波数ビン(bin)へ拡散しまう問題である(周波数については「スペクトル漏れ」にあたる。)。窓関数の時間的オーバーラップは、隣接するSTFT分析結果が互いに強い相関を持つという事実に基づいている (時刻 t の分析フレームに存在する正弦波成分は、後続フレームにも同様に存在し続ける可能性が高い)。 STFT表現上で行なう全ての変更は、隣接する 周波数ビン (垂直コヒーレンス) や 時間フレーム (水平コヒーレンス) との間で 「適切な相関関係」を維持する必要がある。これは、フェーズボコーダによる信号変形の問題に関連している。合成音が極めて単純な場合以外、この「適切な相関関係」を正確に維持ですることは困難である。フェーズボコーダの発明以来、研究は主にSTFT表現変更後に垂直/水平コヒーレンスを維持するアルゴリズムの発見のために行われてきた。なお、振幅コヒーレンスは、時間スケール操作に関してマイナーな問題に過ぎない。なぜなら、分析フレームの時間シフトは、振幅に小さな影響しか与えないからである。しかし位相コヒーレンスの問題は、適切な解決策が得られるまでかなり長い期間の検討を要した。
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