似非数学的な理由付け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 18:43 UTC 版)
「数学的なジョーク」の記事における「似非数学的な理由付け」の解説
多義性によるジョークは、本当は論理的に十分有効ではないことがわかった上で、数学的な理由づけを行うというものである。それらの多くはよく知られた金言や三段論法のような基本的な論理構成を組み合わせて作られる。 知識は力なり。(Knowledge is power.)力(権力)は堕落する。(Power corrupts.)従って、知識は堕落する。(Therefore, knowledge corrupts.) 以下のような、「証明」に似せた類いのジョークもたくさんある。 女は時間と金が掛かる。 women = time × money {\displaystyle {\text{women}}={\text{time}}\times {\text{money}}} (Women are the product of time and money.) で、「時は金なり」だから、 time = money {\displaystyle {\text{time}}={\text{money}}} (Time is money.) 要するに金の事情(自乗)ということだ。 women = money 2 {\displaystyle {\text{women}}={\text{money}}^{2}} (So women are money squared.) そういえば「金は諸悪の根源なり」だったな。 money = evil {\displaystyle {\text{money}}={\sqrt {\text{evil}}}} (Money is the root of all evil.) よって、女は邪悪であることが示された。 women = ( evil ) 2 = evil {\displaystyle {\text{women}}=({\sqrt {\text{evil}}}\,)^{2}={\text{evil}}} (So women are evil.) 次は、Nothing の多義性を使ったジョークである。 妻よりもいいものはない。(Nothing is better than my wife.)ないよりは1円のほうがいい。(1 Yen is better than nothing.)従って、妻より1円のほうがいい。(Therefore, 1 Yen is better than my wife.) Nothing や Nobody の多義性を使ったジョークは鏡の国のアリスにも登場する:「誰かいる」、「誰もいません (Nobody is there)」、「Nobody って誰?」。 ほかにも、数学的な理由もなく慣習的記法を誤解釈することに関係したジョークもある。 ( lim x → 8 + 1 x − 8 = ∞ ) ⇒ ( lim x → 3 + 1 x − 3 = ω ) {\displaystyle \left(\lim _{x\to 8^{+}}{\frac {1}{x-8}}=\infty \right)\Rightarrow \left(\lim _{x\to 3^{+}}{\frac {1}{x-3}}=\omega \right)} x を右から 8 に近づけた極限が 8 を横転した「∞」(無限大を表す記号)になっているのだから、(8 を 3 に置き換えただけの同じ問題では)x を右から 3 に近づけた極限は 3 を横転させればいいんだろと、ギリシャ文字の小文字「ω」(オメガ)を書いてしまうというもの。もちろん、この含意は「 8 」と「 3 」の他に適用できる保証はない。 sin x n = s i x 1 = 6 {\displaystyle {\frac {\sin {x}}{n}}={\frac {\mathrm {si} \,x}{1}}=6} これはつまり、"sin" の "n" と 分母の "n" とを約分して、それぞれ "six" (= 6) と 1 が出てくるといっているのである。もちろん、"sin" はこのひとまとまりで正弦を表しているからこのようなことにはならない。印刷物では、ひとまとまりであることを明示するために sin とローマン体を用いて組版するのが通例であるが、手書きなどではうまく書き分けがされていないことも多いため、現実に起こらないともいえないものである。 「なぜ、6 は 7 を怖がるんだい?」 「それは 7 が 9 を食べた(ate→eight=8)からだ。」 「ではなぜ、7 は 8 を怖がるんだい?」 「それが数学的帰納法さ。」 動詞 eat の過去形 ate の発音 は eight の発音と同じである。これと同様の言葉遊びを使ったジョークとして、以下のようなものがある。 「69(シックスナイン)のルートはなに?」「8とちょっとだね(eight something→ate something; ナニを咥える)」
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