伝統文化との関係
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「モンゴルのヒップホップ」の記事における「伝統文化との関係」の解説
モンゴルには、語り部が物語を暗誦する口承文芸の伝統がある。語り部は馬頭琴などの楽器を使いつつ、長い場合は数時間から数日にわたって物語を伝える。物語の内容は覚えやすいように頭韻がよく使われ、その形式は古代のチュルク系民族にさかのぼるとも言われる。社会主義時代に口承文芸の収集が行われ、多くの作品が活字化された。近代詩においても韻が踏まれており、近代モンゴル文学の父と呼ばれるダシドルジーン・ナツァグドルジや、体制批判をして反逆の詩人と呼ばれたレンチニー・チョイノム(モンゴル語版、英語版)らの作品は、1990年代のラッパーたちの曲に使われた。チョイノムはヒップホッパーのヒーローとしてグラフィティにも描かれている。 モンゴルの口承文芸では、勝負も行われる。たとえばデンベー(dembee)と呼ばれる数字の朗誦をする指遊びや、ダイラルツァー(dairaltsaa)と呼ばれる子供の掛け合い歌などがある。モンゴルにフリースタイルのラップバトルが入ってきた当初は、ラップ・デンベーとも呼ばれ、モンゴル文化の枠組みの中で理解が進んだ。このように口承文芸の伝統が現代まで継承されており、公教育でも取り入れられている点から、モンゴル文化はヒップホップとの親和性があると認識されている。 伝統音楽との共演も多く、馬頭琴、ホーミー、横笛のリンべ(モンゴル語: лимбэ)などが取り入れられている。MCビーツが書いたモンゴル語のヒップホップ概説本『The Secret of Rap』(2011年)には、ホーミーとヒューマンビートボックスの類似についても書かれている。モンゴルではシャーマンが急増しており、ラッパーにはシャーマンになる者もいる。シャーマンは精霊たちの声として現代の物語も表現しており、ラップとの親和性がある。
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