仕様策定の混乱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 04:39 UTC 版)
「F-2 (航空機)」の記事における「仕様策定の混乱」の解説
国産派の受注活動により、国内開発をすればどれほど素晴らしい戦闘機が配備できるかをPRすることはできていた。一方で運用サイドにおいては、「素晴らしい戦闘機」の定義で混乱が見られた。具体的には、「支援戦闘機」に要撃機としての性能をどの程度要求するのか、という事項である。[要出典] 日本における支援戦闘機は、諸外国で一般的に言われる「攻撃機」ではなく、要撃機としての性能も要求される。「空対艦誘導弾4発を装備した状態で戦闘行動半径450海里を有すること」は示されていたが、「支援戦闘機に要撃機としての性能をどれほど盛込むのか」、ということを決められないでいた。支援戦闘機としての低空侵攻速度の要求が毎年100kt単位で変更されていたように、仕様策定において大きな混乱をもたらしていた。 ゆえに、各社の案も富士重案のような支援戦闘機としての能力を重視し旋回性能を犠牲にした超音速巡航(スーパークルーズ、すなわちアフターバーナーに頼らない音速突破能力)案から、川崎案のような要撃機として高高度での旋回性能や低速性能を重視した案まで、様々なばらつきを見せていた。つまり、運用サイドは、支援戦闘機を要撃機として運用する際の性能をどの程度求めるのかを統一し示すことができなかったのである。 この混乱は、当初は航空自衛隊の戦力増強を歓迎してエンジンのみの販売を後押しするとしていた米空軍の態度を変えさせ、のちの日米共同開発の遠因となった。結果としては、旧海軍航空隊が「速度性能」を重視するのか「旋回性能」を重視するのか示せずに零式艦上戦闘機の後継機を配備できなかったのと同様の道をたどり、悲願であった国産の道を絶ってしまったのである。また、この仕様策定能力の低さは21世紀に入った現在に至ってもほとんど改善することができておらず、第4次次期主力戦闘機選定時にも影響を及ぼし、一旦は部内で内定したF-22Aを導入出来ない事態に陥らせた。
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