人間側下手のハンデキャップマッチ
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「コンピュータチェス」の記事における「人間側下手のハンデキャップマッチ」の解説
2007年3月には、グランドマスターのJaan Ehlvest(当時のレーティング2610)が「Rybka」と対戦。Rybka側は常にポーンを1つ落とす(8ゲーム行い、1ゲームごとに落とすポーンを変えていく)というハンデキャップマッチだったが、Rybkaが4勝1敗3分で勝利している。 2008年9月には、同じくグランドマスターのVadim Milov(世界ランキング28位、レーティング2705)とRybkaが8局のハンデキャップマッチを含む対局を行った。最初の2局はMilovが有利な先手白番を持った通常の対局で、Rybkaの1勝1分。次の2局はMilovが先手白番、Rybkaが後手黒番でポーンを1つ落とす「pawn-and-move」でMilovの1勝1分。最後の4局はRybkaが先手白番でルークを落とし、Milovが後手黒番でナイトを落とすハンデで行われ、Milovの1勝3分となった。トータルスコアはMilovの2勝1敗5分となったが、この対局は、このレベルのグランドマスターがコンピュータ側にハンデを課した状態でようやく互角に争えるという結果を示すものとなった。 2014年8月23日には、ヒカル・ナカムラ(世界ランキング5位、レーティング2787)とStockfishのハンデキャップマッチ4局が行われた。Stockfishのハードウェアは、3.0GHz、8コアのIntel Xeon E5を搭載したMac Proであった。4局を通じて、Stockfishには序盤定跡とエンドゲーム(ゲーム最終盤。チェスは取った駒の再利用はできないため、ゲーム最終盤に盤上に残る駒が少なく、パターンの類型化が可能)のデータベースにアクセスできない、というハンデが課された。最初の2局は、ナカムラが2008年版のMacBook Pro上で動くコンピュータチェスソフト「Rybka 3」(2008年リリース、上記Milovとの対局に使われたもの。上記ナカムラとの対局時にはまだリリースされていない)を使用できるアドバンテージを得た上で、先後を変えて行われ、ナカムラは先手番でドローとしたが後手番では敗れた。なお、StockfishとRybka 3の実力差はStockfish(推定レーティング3200超)がRybka 3(同じく推定レーティング3200超)に対して勝率75%(レート差200)である。次の2局はナカムラが先手でコンピュータのアシストなし、Stockfishが後手でポーンを一つ落とすハンデで行われ、こちらもナカムラの1分1敗となり、4局通算ではナカムラの2分け2敗であった。 2018年6月17日には、ヒカル・ナカムラ(世界ランキング10位、レーティング2769)とKomodoのハンデキャップマッチ3局が行われた。1局目はナカムラが先手番でポーンを1手先に動かしたところから始め後手のKomodoはポーンを1つ落とすハンデでドロー、2局目はKomodoが先手番で後手のナカムラがポーン1つをナイトに交換するハンデでドロー、3局目はKomodoが先手番でキングとポーン以外の駒をすべてナイトと交換し後手のナカムラがナイト2つを落とすハンデでドローに終わった。対局の持ち時間は双方10分で1手につき5秒加算、KomodoはCPUにIntel corei9-7960x(16コア)を用いてオーバークロックさせ、5駒までのエンドゲームデータベースにアクセス可能とした。
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