人間個体群における例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/10 00:11 UTC 版)
人類史を通じて様々な移住があったため、人間個体群における創始者効果は他の生物よりも多く見かけられる。ケベック植民地の(有効な)創始者人口は、僅か2600人であった。12-16世代後には内部結婚により人口は80倍となったが、ケベック特有の連鎖不平衡が観察されるようになった。この地域の遺伝的変異の幅が他の地域より少ないのは、この歴史の結果である(その変異には遺伝子疾患との連鎖が良く研究されている変異を含む)。 (訳注)現ケベック州地域には、フランス植民地が創設される前にも先住民族が居住していた。 また、創始者効果は競合している系統が死に絶えることによっても起きる。これは、「子孫となった個体群で認められる痕跡(=子孫に残された遺伝子)からのみ、創始者個体群で有効であった個体数が推定される」ということである。有性生殖では、子に受け継がれるのが確実なのは両親の遺伝的情報それぞれについて半分ずつである。したがって、ある個体群が多くの子孫を残したとしても、有性生殖で遺伝情報が引き継がれずに、完全に「死に絶え」てしまう系統もある。 近年の研究(Hey 2005)によって、氷期の末期にベーリング海峡を越えて移住した人々は、少人数であり、現代の子孫に残されている遺伝的な痕跡は70種類のみであることが示された。…これは、70人だけが北アメリカ大陸に渡ったと誤解してはならない(より多くの人々が渡米したが、そのうちで子孫に遺伝情報が伝えられているのが70種類ということである)。ミトコンドリア・イブについての誤解も同様の例であるが、「ミトコンドリア・イブが彼女の時代の唯一の女性ではなかった」ということを立証するのは困難である。
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