人力・畜力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 06:52 UTC 版)
徒歩は現代でも近距離交通においては重要な交通手段であり、また公共交通機関や他の輸送機械を使用する場合でも歩行は必須である。人力を原動力とする交通機関も古くから存在し、駕籠や人力車、人車軌道などはかつて盛んに用いられていた。人が荷物を背負い直接輸送を行うことは現代でも行われており、また大八車、リヤカー、ショッピングカート、バゲージカート、シルバーカーといった台車を使用することも多い。自転車は整備された路面であれば単純な人力より数倍の速度が可能であるため、都市交通では大きな割合を占めており、より多くの荷物を載せられるようにしたカーゴバイクを使用したり、三輪車に台車をひかせて貨物輸送に使用されることもある。歩行困難な障害者の移動用具としては車椅子が広く使用される。 人力の次に使用された動力は、家畜である。人や物を直接乗せる際は駄獣、台車などを引かせて使用する場合は輓獣と呼ばれる。交通用の家畜として最も用いられたものはウマである。ウマに引かせる馬車は西洋で広く用いられ、19世紀には乗合馬車が都市交通の要となり、レールの上を走る鉄道馬車へと移行して1920年頃まで運行していた。そのほかにもウシやロバ、ラバなどが世界的に広く役畜として使用され、ウシに引かせる牛車も存在した。特殊な地域の交通に用いられたものとしては、乾燥地帯でラクダの導入によって乾燥地帯を越える交易ルートの設定が可能となり、「砂漠の舟」と呼ばれるほどの重要性を持っていた。寒冷地においてはトナカイやイヌを役畜として、犬ぞりのようにそりを引かせていた。ただしこうした畜力使用は自動車の普及とともに衰退し、20世紀後半からは特殊な場合を除きほぼ使用されなくなった。
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