交通事故との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 03:14 UTC 版)
米国において大麻が合法化された州でも、大麻が効いた状態で自動車を運転することは違法である。アメリカでは死者が発生した自動車事故において運転者から検出されることのある薬物の1位がアルコール、2位がマリファナである(ただしこの調査で検出対象となっているのはヘロイン・コカインなどの違法薬物およびアルコール・大麻などの運転時には違法となる薬物のみである)。大麻の影響下にある運転者の自動車事故リスクについて過去に行われた調査では、大麻の影響(典型的には運転者の血中THC濃度によって測られる)が大きいほど、自動車事故リスクが高まると報告されている。しかしながらそれらの調査においても、大麻のために上昇したとされる事故リスクは、違法運転とならない量のアルコールを摂取した場合のリスクよりも一貫して低い水準にある事が示されている。イェール大医師らの報告によると、大麻が効いてる間の運転で重大事故を引き起こす確率は、飲酒運転の10分の1程度であるという(大麻も運転能力の一時的低下をもたらして事故原因になることは前提)。 大麻を吸引すると調整能力、視標追跡能力、反応時間といった運転時に必要な能力が低下するが、大麻タバコ3分の1本以下の少量の吸引であれば運転能力に支障は見られず、かえってシラフのドライバーよりも事故を起こしにくいという研究報告があった。英国運輸省による報告書 は「平常時とは異なるが、必ずしも事故につながる技能的な障害があるとはいえない。」と報告した。アメリカ合衆国運輸省 やカナダ政府違法薬物委員会 からも同様の報告があった。また、英国国会貴族院科学技術委員会の報告書 では、アルコール使用者は平常時よりも危険な運転をする傾向があることに対し、マリファナ使用者は危険を回避しようと低速で注意深く運転する傾向にあり反応時間や運動能力の低下を相殺するため、直接的に事故の増加にはつながらないとしていた。 しかし近年のメタアナリシスでは大麻と交通事故、とりわけ致死的な事故との関連が示されている。 大麻を多量に吸引した場合は、車線に沿って運転できない、黄色信号や不意の危険に対しての対応速度が鈍る、自分のスピードが正しく認識できないなどといった問題が発生し、事故リスクが高まる。また、アルコールと大麻を併用した場合は、いずれか一方のみを使用した場合よりも事故のリスクが高くなる。
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