事故報告とは? わかりやすく解説

事故報告

作者佐藤二郎

収載図書東京スラム
出版社近代文芸社
刊行年月1996.1


事故報告

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/18 00:09 UTC 版)

事故報告(じこほうこく)とは、労働安全衛生法等の法令により、事業者に課せられる報告の一つであり、爆発等一定の事故が発生したときに事業者に提出が求められるものである。

厚生労働大臣等は、労働安全衛生法を施行するため必要があると認めるときは、事業者等に対し、必要な事項を報告させること等ができるとされていて(労働安全衛生法第100条1項)、この報告の対象となる事故が労働安全衛生規則に列挙されている。

概説

労働安全衛生規則第96条(事故報告)

  1. 事業者は、次の場合は、遅滞なく、様式第22号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(以下略)
  2. 次条第一項の規定による報告書の提出と併せて前項の報告書の提出をしようとする場合にあつては、当該報告書の記載事項のうち次条第一項の報告書の記載事項と重複する部分の記入は要しないものとする。

労働災害の防止は労働安全衛生法の最も重んじるところであるが、人的被害のない単なる事故は同法でいう「労働災害」には該当しない(労働安全衛生法第2条では「労働災害」を「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡すること」と定義している)。しかしながら、人身被害のない事故であっても、それと労働災害との間は紙一重という場合が多いことは常識的に見ても当然首肯しうるところである[1]。したがって、労働安全衛生法においては、人的被害を伴わず、従って労働災害の定義に該当しないボイラーの破裂など、一定の事故についても、事業者に対し報告を義務付けている。なお、人的被害を伴う事故の場合は事故報告と労働者死傷病報告の両方を合わせて提出しなければならないが、この場合、労働者死傷病報告と記載内容が重複する部分は事故報告の記載を省略することができる。

報告の対象となる事故

報告の対象となる事故は、以下の通り(労働安全衛生規則第96条1項、クレーン等安全規則第2条)。

  1. 事業場又はその附属建設物[2]内で、次の事故が発生したとき
    • 火災又は爆発の事故(次号の事故を除く。)
    • 遠心機械、研削といしその他高速回転体の破裂の事故
    • 機械集材装置、巻上げ機又は索道の鎖又は索の切断の事故
    • 建設物、附属建設物又は機械集材装置、煙突、高架そう等の倒壊の事故
  2. ボイラー[3](小型ボイラーを除く。)の破裂、煙道ガスの爆発又はこれらに準ずる事故が発生したとき
  3. 小型ボイラー、第一種圧力容器及び第二種圧力容器の破裂の事故が発生したとき
  4. クレーン(吊上げ荷重0.5トン未満のクレーンを除く。)の次の事故が発生したとき
  5. 移動式クレーン[4](吊上げ荷重0.5トン未満の移動式クレーンを除く。)の次の事故が発生したとき
    • 転倒、倒壊又はジブの折損
    • ワイヤロープ又はつりチェーンの切断
  6. デリック(吊上げ荷重0.5トン未満のデリックを除く。)の次の事故が発生したとき
    • 倒壊又はブームの折損
    • ワイヤロープの切断
  7. エレベーター(吊上げ荷重0.5トン未満のエレベーター及び労働基準法別表第一第1号から第5号までに掲げる事業又は事務所以外の事業又は事務所に設置されるエレベーターを除く。)の次の事故が発生したとき
    • 昇降路等の倒壊又は搬器の墜落
    • ワイヤロープの切断
  8. 建設用リフト[5](吊上げ荷重0.25トン未満の建設用リフト及び0.25トン以上であってもガイドレールの長さが10メートル未満の建設用リフトを除く。)の次の事故が発生したとき
    • 昇降路等の倒壊又は搬器の墜落
    • ワイヤロープの切断
  9. 簡易リフト[6](吊上げ荷重0.25トン未満の簡易リフトを除く。)の次の事故が発生したとき
    • 搬器の墜落
    • ワイヤロープ又はつりチェーンの切断
  10. ゴンドラの次の事故が発生したとき
    • 逸走、転倒、落下又はアームの折損
    • ワイヤロープの切断

参考文献

  • 畠中信夫著「労働安全衛生法のはなし[改訂版]」中災防新書、2006年5月15日発行

脚注

  1. ^ 「労働安全衛生法のはなし」p.6
  2. ^ 事業附属寄宿舎内において発生した事故は、労働基準法施行規則第57条により報告させることになっているので、ここでいう「附属建設物」には、寄宿舎を含めないものであること(昭和47年9月18日基発第601号の1)。
  3. ^ 「ボイラー」とは、蒸気ボイラー及び温水ボイラーのうち、次に掲げるボイラー以外のものをいう(労働安全衛生法施行令第3条3号)。
    1. ゲージ圧力0.1メガパスカル以下で使用する蒸気ボイラーで、厚生労働省令で定めるところにより算定した伝熱面積(以下「伝熱面積」という。)が0.5平方メートル以下のもの又は胴の内径が200ミリメートル以下で、かつ、その長さが400ミリメートル以下のもの
    2. ゲージ圧力0.3メガパスカル以下で使用する蒸気ボイラーで、内容積が0.0003立方メートル以下のもの
    3. 伝熱面積が2平方メートル以下の蒸気ボイラーで、大気に開放した内径が25ミリメートル以上の蒸気管を取り付けたもの又はゲージ圧力0.05メガパスカル以下で、かつ、内径が25ミリメートル以上のU形立管を蒸気部に取り付けたもの
    4. ゲージ圧力0.1メガパスカル以下の温水ボイラーで、伝熱面積が4平方メートル以下のもの
    5. ゲージ圧力1メガパスカル以下で使用する貫流ボイラー(管寄せの内径が150ミリメートルを超える多管式のものを除く。)で、伝熱面積が5平方メートル以下のもの(気水分離器を有するものにあっては、当該気水分離器の内径が200ミリメートル以下で、かつ、その内容積が0.02立方メートル以下のものに限る。)
    6. 内容積が0.004立方メートル以下の貫流ボイラー(管寄せ及び気水分離器のいずれをも有しないものに限る。)で、その使用する最高のゲージ圧力をメガパスカルで表した数値と内容積を立方メートルで表した数値との積が0.02以下のもの
  4. ^ 「移動式クレーン」とは、原動機を内蔵し、かつ、不特定の場所に移動させることができるクレーンをいう(労働安全衛生法施行令第3条8号)。
  5. ^ 「建設用リフト」とは、荷のみを運搬することを目的とするエレベーターで、土木、建築等の工事の作業に使用されるもの(ガイドレールと水平面との角度が80度未満のスキップホイストを除く。)をいう(労働安全衛生法施行令第3条10号)。
  6. ^ 「簡易リフト」とは、エレベーター(労働基準法別表第一第1号から第5号までに掲げる事業の事業場に設置されるものに限るものとし、せり上げ装置、船舶安全法の適用を受ける船舶に用いられるもの及び主として一般公衆の用に供されるものを除く。以下同じ。)のうち、荷のみを運搬することを目的とするエレベーターで、搬器の床面積が1平方メートル以下又はその天井の高さが1.2メートル以下のもの(建設用リフトを除く。)をいう(労働安全衛生法施行令第3条9号)。

関連項目

外部リンク


事故報告

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 07:07 UTC 版)

整備管理者」の記事における「事故報告」の解説

大型自動車使用者等は、その使用する自動車について自動車事故報告規則第2条各号事故があった場合には、当該事故があつた日から30日以内に、当該事故ごとに自動車事故報告書3通を当該自動車使用の本拠の位置管轄する運輸監理部長又運輸支局長を経由して国土交通大臣提出しなければならない。(道路運送車両法100第1項自動車事故報告規則 第3条) なお、自動車運送事業者場合自動車事故報告書提出義務別途あるため、違反時の罰則異なる。(道路運送法29条、貨物自動車運送事業法 第24条自動車事故報告規則公布され当初1951年12月20日)は、大型自動車使用者等が報告する必要がある事故は「かじ取り装置制動装置、車わく又は車輪タイヤを除く。)の破損または脱落により、自動車運行できなくなつたもの(第2条 第4号/2014年時点での第2条 第11号に相当)」に限定されていたが、その後の改正により、大型自動車使用者等も第2条各号報告対象になっている

※この「事故報告」の解説は、「整備管理者」の解説の一部です。
「事故報告」を含む「整備管理者」の記事については、「整備管理者」の概要を参照ください。

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