主要レパートリーとレコーディング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 14:08 UTC 版)
「トーマス・ビーチャム」の記事における「主要レパートリーとレコーディング」の解説
ヘンデルやハイドン、モーツァルト、ベルリオーズやシューマンなどロマン派の作曲家、ロシア国民楽派、プッチーニ、グリーグ、シベリウス、そしてディーリアスといったところがビーチャムのレパートリーの核である。 ヘンデル、ハイドン、モーツァルト ヘンデルの『メサイア』(ユージン・グーセンス版)、ハイドンの交響曲第104番『ロンドン』、モーツァルトの交響曲第38番『プラハ』『魔笛』といったところを特に得意とし、『魔笛』に関しては台詞抜きながら世界初録音(1937年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)も果たしている。ヘンデルは『メサイア』のほか、自身の編曲による楽曲もいくつか指揮している。 ロマン派音楽とフランス音楽 『イタリアのハロルド』(ヴィオラ:ウィリアム・プリムローズ)、シューベルトの交響曲第5番、シューマンの『マンフレッド』、『カルメン』、『ファウスト』、『ホフマン物語』など、メジャーなものから現在でもあまりレコーディングされないような曲目まで幅広く取り上げた。ビゼーの発掘された交響曲ハ長調もしばしば取り上げている。また、『ファウスト』のバレエ音楽を指揮している最晩年(1959年)の映像が残されている。 ディーリアス ビーチャムは1907年以来ディーリアスと親交を結び、ディーリアスの詩情あふれる音楽を高く評価し、数多く演奏してイギリスのコンサート・プログラムに定着させた。またディーリアスの作品中、出来が今一つな作品を手直しして、いわゆる「ビーチャム校訂版」を広く知らしめた。ディーリアスは自身の作品に他人の手が入ることを極度に嫌っていたが、ビーチャムのアドバイスが的を射ていたものだったため、ビーチャムだけを例外としたのである。なお、ビーチャムはディーリアスの印象を「枢機卿のようだ」と回想している。また、ウォルター・レッグ曰く「ディーリアスはビーチャムが完全に自己同化できる作曲家」だった。 ロシア音楽、リヒャルト・シュトラウス、プッチーニ、シベリウス ロシアものに関しては主要な作品はことごとくレコーディングしている。リヒャルト・シュトラウスも若い頃からの主要レパートリーであり、同時に親交も篤かった。ビーチャムは、ヴェルディよりプッチーニを好んでおり、ビクトリア・デ・ロス・アンヘレスがミミを、ユッシ・ビョルリングがロドルフォを歌った『ラ・ボエーム』はビーチャムの“ディーリアス以外での”代表的録音とされる。シベリウスも親交の篤かった作曲家であり、一説にはイギリスでシベリウス演奏をメジャー化する嚆矢となったのがビーチャムだと言われている。
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