中空ピット
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/16 01:10 UTC 版)
中空ピット("hollow pit")を爆縮するとプルトニウムは内側に圧縮され、途中で衝突して高密度の球体となり超臨界に達する。勢いがついたプルトニウムはそれ自身がタンパーの役割を果たすため、タンパー層に用いるウランの量を減じることができ、弾頭の重量とサイズを小さくすることができる。中空ピットは従来の均質な球形のピットよりも効率がよいが、代わりに爆縮により高い精度が求められた。このため、最初の実用兵器には均質型のクリスティ・ピットが選ばれたのである。1945年8月に終戦を迎えると、研究者達は中空ピットの課題解決に集中することになり、理論部門のハンス・ベーテを中心として開発が進められた。中空ピットの開発が最大の関心事になったのは、プルトニウムが高価だったことと、プルトニウムを生産するB原子炉がトラブルを起こしがちだったためであった。 中空ピットは、爆縮の瞬間に内部の空洞に重水素と三重水素の等量混合物を注入することによって出力を増強できるという利点があった。これはブースト型核分裂兵器と呼ばれ、核爆発に必要なプルトニウムの量をさらに減らすことができた。また、重水素-三重水素混合物の注入量や中性子源からの中性子パルスの強度とタイミングを緻密に制御することにより、核出力を可変とすることもできた。
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