中村主水の誕生
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シリーズ第1作『必殺仕掛人』の放送後、プロデューサーの山内久司は次作『必殺仕置人』に同心を登場させるため、中村主水の基本設定を決めたという。山内は主水にサラリーマンの様な平凡さを求め、配役には「男前でもなければ、不細工でもない。体格も極めて平均的な日本人である、藤田まことしかないと思った」と述べている。配役については、藤田は『てなもんや三度笠』のイメージが強すぎるため、ABC社内では反対する声が多かったが、監督の深作欣二の推挙もあり、藤田に決まった。一方で、藤田は「スタッフは他の有名俳優にも主水役を打診したが、家庭で嫁姑にいびられる情けない役どころを引き受ける人間が誰もおらず、最終的に自分のところに回ってきた。依頼から撮影までたった一週間だったのが合点がいった」と語っている。 詳細は「必殺仕置人#概要」および「藤田まこと#てなもんや三度笠に出演」を参照 「必殺仕掛人#制作背景」も参照 『仕置人』の主水は準主役級であったが、人気を博し、次作『助け人走る』にゲスト出演、『暗闇仕留人』ではレギュラー出演を果たし、『てなもんや』以降、不遇だった藤田をスターの座に返り咲かせることとなった。撮影を担当した石原興は「当初は藤田の演技は未熟だったが、『仕置人』が終わるころには物になっており、主水は藤田以外にはいないと思った」と述懐している。後年、「中村主水というキャラクターが自分の中に確立できたのはいつ頃か?」という質問に対し、藤田は「『商売人』の頃だ」と答えている。 詳細は「てなもんや三度笠#番組の終了」および「藤田まこと#必殺シリーズに出演」を参照 「江戸プロフェッショナル・必殺商売人#概要」も参照 中村主水の名前の由来に関しては諸説ある。平凡な名前にしようと会議で決めていた時、山内は冗談で「ジェームス・ボンドにしましょうか?」と発言したところ、深作が「“モンド”という名前は平凡やね、目立たん名前やね」と返し、決まったという。他方で、それは制作陣による後付けのリップサービスで、実際は日本では一般的な中村という苗字に、八木節に登場する怠け者の鈴木主水の名前を取って付けたという説もある。 トレードマークのマフラーは、『仕業人』の撮影時、寒さを凌ぐために小道具係から借り、撮影に用いたものが定着したものである。後に藤田の死後に製作された『仕事人2010』からはそのマフラーを仕立て屋の匳が受け継ぎ、それ以降は渡辺小五郎が受け継ぎ、仕事を行う際に襟に巻いている。
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