中エジプト語との違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 06:08 UTC 版)
「新エジプト語」の記事における「中エジプト語との違い」の解説
中エジプト語が新エジプト語に変化した時期は明確ではない。これは、新エジプト語期の歴史的、文学的文書にも、「古典的」な用法、表現が多く見られるからである。 しかし、中エジプト語と新エジプト語の間の差異は、古エジプト語と中エジプト語との差異に比べると大きい。この時期に、エジプト語の構造は総合的言語から孤立語的なものへと大きく変化し、中エジプト語までは主に様々な接辞や語形変化により表されていた文中の各語の間の関係は、次第に冠詞等の独立した語により表されるようになったのである。 文献に書かれている新エジプト語の特徴は、新王国時代の人々の話し言葉を反映している。例えば、弱い子音ȝ, w, j や、女性形のマーカーである語尾の -t は、次第に省略されるようになった。これは明らかに、当時の人々の日常語では、それらの子音が発音されなくなっていたからである。 指示代名詞であった pȝ (男性単数), tȝ (女性単数), nȝ (複数) は、定冠詞として使用されるようになった。 中エジプト語において完了した行為を表していた動詞形態「sḏm.n=f形」は、「sḏm=f形」に取って代わられた。また、新たに過去時制を表現する形態として助動詞 ir 「する、作る」を使う文型が現れた。例: ir-f sˁḥˁ-f 「彼は彼(別の人)を責めた」 新エジプト語では名詞の修飾に、中エジプト語まで使用されていた形容詞に代わり、名詞句で表されることが多くなった。 新王国時代からプトレマイオス朝時代かけては、新たな文物が外国からエジプトに流入したのに伴ってヒエログリフの文字数が著しく増加した時代でもあった。
※この「中エジプト語との違い」の解説は、「新エジプト語」の解説の一部です。
「中エジプト語との違い」を含む「新エジプト語」の記事については、「新エジプト語」の概要を参照ください。
- 中エジプト語との違いのページへのリンク