世論と統計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 23:47 UTC 版)
統計学的な手法を用いて世論を明らかにする調査が世論調査である。逆に言うと、統計学的に正しい調査の手法を用いないものは世論調査ではない。統計学の威力に関しては、統計学を利用した世論調査の方法を確立したギャラップ社のジョージ・ギャラップ曰く、『I could prove God statistically』(私は神の存在を統計的に証明できる)とのこと。 統計調査には「標本調査(サンプリング)」と「全数調査(センサス)」がある。全数調査とは、ある社会集団の構成員の全員を調査する方法であり、これを用いると正確な結果が得られるが、例えば日本国で世論調査を行う場合、約1億2千万人の対象に対してこれを行う必要があり、非常に時間と手間がかかるため、世論調査では標本調査が用いられる。なお、日本政府が5年に一度行う国勢調査では、全数調査が行われる。 なお、日本で統計調査を行っている総務省統計局は、これからの社会を生きる子供たちが標本調査の前提となる統計的な知識や技能を身に付けておくことは必須であると考えており、平成24年度以降の新学習指導要領で統計の教育を施しているほか、インターネットで小中学生レベルの統計学を学べる「なるほど統計学園」と、高校レベルの統計学を学べる「なるほど統計学園高等部」というWebサイトを設けている。 学術的な面で世論調査の正確性を担保するのが統計学だが、倫理的な面で日本の世論調査の正確性を担保するのが公益財団法人日本世論調査協会である。フジサンケイグループ、東京スポーツ新聞社などを除くほぼ全ての大手マスコミと(日経系は日経リサーチが、時事通信社系は中央調査社が加盟しているが、フジサンケイ系は産経新聞社が2009年1月9日をもって退会したため未加盟)、内閣府や国民生活センターなど世論調査を行う行政機関、慶応義塾大学メディア・コミュニケーション研究所や統計数理研究所など世論調査を研究する学術機関が加盟しており、正しい世論調査を行うために民・官・学で互いに協力し合っている。
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