世界最深の魚類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:32 UTC 版)
1960年、バチスカーフの後継機のひとつであるアメリカのトリエステ号が、当時既に世界最深地点として知られていたマリアナ海溝のチャレンジャー海淵を目指して有人潜航を行った。乗船していたジャック・ピカール(オーギュストの息子)は、到達した最深地点(水深10,900メートル前後)で「シタビラメに似たカレイの一種」を目撃したと報告した。一方、日本の無人探査艇「かいこう」が1998年に行った調査では、同地点で魚類を確認することはできなかった。21世紀初頭時点では、ピカールによる「目撃報告」は疑問視され、ナマコの一種を見間違えたのではないかと考える研究者もいる。 日本のNHKが、海洋研究開発機構(JAMSTEC)のチャレンジャー海淵調査について2017年8月27日に放映したテレビ番組『DEEP OCEAN超深海/地球最深(フルデプス)への挑戦』によると、チャレンジャー海淵の底ではナマコ類やエビ類は撮影されたものの、魚類は写っていなかった。 確かな科学的裏付けを持つ例として、これまでにもっとも深い場所から採集された深海魚はアシロ科(アシロ目)のヨミノアシロ (Abyssobrotula galatheae) である。デンマークの調査隊がプエルトリコ海溝の水深8,372メートルから本種を引き揚げたのは1952年のことで、学名には当時の調査船ガラテア (Galathea) 号の名前が冠されている。ほかに、クサウオ科(カサゴ目)のシンカイクサウオおよびアシロ科のソコボウズが7,000メートル以深で観察されている。 海洋研究開発機構(JAMSTEC)の調査船「かいれい」の機器が2017年5月、マリアナ海溝の水深8,178メートルにおいてシンカイクサウオの採餌行動の撮影に成功した。2017年8月時点で、これが生きた魚類の映像の最深記録である。
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