一般教育と専門教育の比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/18 02:47 UTC 版)
「一般教育と専門教育」の記事における「一般教育と専門教育の比較」の解説
一般教育と専門教育はよく比較される。しかし、元々思想も性質も違うものであり、根底と役割をたどれば比べることは不可能である。むしろ、双方をバランスよく使い分けることが必要であろう。そもそも高等教育においては、どこまでを専門教育の範疇とするか、どこまでを一般教育の範疇とするかということを、単に学問分野上の分類だけで厳密に定めることは究極的には不可能だろう。大学における教育研究は、常にそのようなジレンマを抱えているのである。 しかし戦前の日本では、戦前は一般教育は旧制高校で、専門教育は大学で行われたため、旧制高校から大学へ進学するというスタイルのもとでは一般教育は低くみられがちであった(ただし、旧制高校ではその身分の不安定さからよく議論が行われたため大学では専門のみ学べばよかった、という太田次郎の指摘もある)。戦後の大学教育では、旧制高校に相当する部分は専門以外の教育という形(大学設置基準でいう一般教育科目、外国語科目、保健体育科目、基礎教育科目)で行われたがこの傾向を払拭することはできなかった。1960年代後半になると大学によっては、専門科目以外を担当する目的の組織・教養部が出来たが、「教養部の必要単位を満たすと学部の根幹をなす専門教育が受けられる」という形をとったため改善とまではいかなかった。専門以外の大学教員の中には存在目的をよく理解しないまま着任した者もおり、この傾向に拍車をかけた。なお大学設置基準は1993年に改正され、専門科目を含めた科目の区分がなくなり、この影響で教養部がなくなっていったため、今日この傾向はさらに強まっているといってよい。 このような事態を文部科学省は積極的に改善しようとしており、一時は教養部を一律に制度化し多くの大学で導入されたこともあったが、国民の先入観などもありなかなか変化していなかった。近年では一般教育と専門教育を上手く組み合わせる例も見られる。例として工学部などを持つ大学において文系教育を行ったり、逆に文系学部において理系的視点から捉える教育姿勢(東京理科大学の経営学部など)や、総合学科の設置がその一例である。
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