一分子光解離とは? わかりやすく解説

一分子光解離

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/08 09:52 UTC 版)

光化学」の記事における「一分子光解離」の解説

この節では光化学基本的な例として、一分子光解離 (Unimolecular Photo-Dissociation, Photolysis) を挙げて説明する基底状態にある分子が光を吸収する励起状態励起される。たとえば吸収した光が可視光紫外光であれば電子励起状態励起されるこの後分子は、励起され励起状態性質により様々な振る舞いをする。 (1) 励起状態解離性ポテンシャルを持つ。 励起状態ポテンシャル曲面解離性曲面である場合分子内のある結合離れれば離れるほど安定になるような曲面場合)は励起され分子はその曲面従い解離する(2) 励起状態安定状態である場合励起状態ポテンシャル曲面極小値を持つ安定状態である場合分子一定の寿命の間その状態にとどまる。安定状態において分子のとりうる主な振る舞いとしては、以下に挙げるものがある。 (a) 励起状態の自然輻射寿命したがい輻射により基底状態へ戻る。 (b) 近くスピン多重度のちがう状態がある場合スピン変換伴ってそちらの状態に移る(項間交差en:intersystem crossing, ISC)。 (c) 基底状態もしくは励起されたの励起状態よりもエネルギーの低い同一多重度別の励起状態状態)のポテンシャルの、高い振動励起状態に移る(内部転移internal conversion, IC)。 (a)では分子は光よりうけたエネルギーを、再び光として放出する蛍光)ので、解離起こらない(b)場合移った先の状態によってその振る舞いはかわる。移った状態が解離性ポテンシャルをもつ状態であった場合(1)同様に曲面従い解離する移った状態が安定状態場合はふたたび(a)(b)(c)可能性がある((b)とはふたたびもとの状態に戻ること)。(a)場合では、移る前と多重度異なるので、電子遷移選択律から光を出して移る先は、元にあった安定な状態と異なる、その多重度のもっとも低いエネルギー準位となる。その状態が解離性ポテンシャルをもてば解離し安定状態であればそ、禁制遷移である燐光放出してもとの基底状態にもどる。 (c)場合吸収したエネルギー解離エネルギーよりも低い場合は、振動緩和により基底状態へもどる吸収したエネルギー解離エネルギーよりも大き場合解離が起こる 以上のような様々な可能性があり、分子ごとまたは励起状態ごとにその分岐比が異なるので、同一分子であっても、違う状態へ励起した場合解離結果異なることがわかる。

※この「一分子光解離」の解説は、「光化学」の解説の一部です。
「一分子光解離」を含む「光化学」の記事については、「光化学」の概要を参照ください。

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