一分間タイムスタディ・データ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 07:08 UTC 版)
「要介護認定」の記事における「一分間タイムスタディ・データ」の解説
一分間タイムスタディ・データは、全国の介護保険施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設)に入所(入院)している高齢者について、48時間にわたり、1分刻みで、どのような介護サービスがどのくらいの時間にわたって行われたかを調査した結果である。平成21年4月以降に使用されている一次判定ソフトは、介護保険施設60施設で、3519人に対して行った一分間タイムスタディ・データにより作成されている。 一分間タイムスタディ・データをめぐっては、次のような議論がある。 介護保険施設だけで調査を行っているため、生活環境が異なる在宅の高齢者の介護の手間を推計するデータとしては適さないのではないか。 介護保険施設の入所者は重度の高齢者が中心であるため、軽度の高齢者の介護の手間を推計するデータとしては適さないのではないか。(平成21年4月以降に使用されている一次判定ソフトの一分間タイムスタディ・データは、3519人に対して調査を行っているが、このうち約半数が要介護4と要介護5の高齢者で、要支援1は2人、要支援2は10人しか含まれていない。) 調査時間が48時間であったため、頻度が低い介護サービスが適切に反映されていないのではないか。(例えば、入浴は曜日を決めて週2回程度提供されることが多く、調査期間に入浴をしなかった者がいたといわれる。) データは介護保険施設の現在の状況を捉えたもので、施設側の都合により設定したスケジュールで提供されている介護サービスの現状を測定しているに過ぎず、本来目指すべき介護サービスの水準とは一致しないので、それを元に要介護認定を行うのは不適当ではないか。 こうした議論は、制度開始当初や一次判定ソフト改訂の際に繰り返されているが、厚生労働省は一分間タイムスタディ・データ自体をこれまで公表していないため、厚生労働省以外の者による検証が行われたことはない。 なお、基準時間のうち「特別な医療にかかる時間」は、一分間タイムスタディ・データに基づく樹形モデルによらず、調査項目ごとに定めた時間数を単純加算している。この部分は介護保険制度開始以来改定されたことが無く、国会の質問主意書に対して「約十年前の場合を実際に測定したものであり、実態が変化していると考えられることから、それに合わせたものにするため修正する」(内閣衆質一六九第四一一号/平成20年5月30日)と政府答弁がなされたこともあるが、実際に改定されることはなく放置されている。
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