ルノー・アルピーヌとは? わかりやすく解説

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アルピーヌ

(ルノー・アルピーヌ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/27 17:38 UTC 版)

アルピーヌ
種類
子会社
業種 自動車
設立 1955年6月22日 (70年前) (1955-06-22)[1]
創業者 ジャン・レデレ
本社 フランス セーヌ=マリティーム県ディエップ
主要人物
フィリップ・クリーフ (CEO)
従業員数
386(2019年)
親会社 ルノー (100%)
部門
  • Alpine Cars
  • Alpine Racing
ウェブサイト alpinecars.com
テンプレートを表示
A110
A110 (2018)

アルピーヌ (Alpine) は、フランス自動車メーカー。

1973年ルノーに買収され、ルノー社の100%子会社となっている。2012年現在の正式名は「ソシエテ・デ・オートモビル・アルピーヌ・ルノー」(Société des automobiles Alpine Renault)。パリで設立されたが、1969年にフランス北西部の大西洋に面した町ディエップに移転している。

2021年5月1日より、組織改編でルノー・スポールと統合し、ルノー・グループにおけるスポーツ・モデルの開発はすべてアルピーヌが担当することになった[2]

歴史

設立

1955年にフランスのレーシングドライバーで、ルノーのディーラーを経営するジャン・レデレが設立した。当初よりルノーのチューンナップおよびレースバージョンを数多く手がけ、ルノー・4CVをベースにFRPボディをのせたA106を販売。その後ルノー・ドーフィンをベースとしたA108ルノー・R8をベースとしたA110を販売、特にA110はラリーで活躍してアルピーヌの名前を不動のものとした。

アルピーヌ・ルノー

1973年にレデレ家からルノーに株式が譲渡され、ルノー傘下の会社「ソシエテ・デ・オートモビル・アルピーヌ・ルノー」となった。1973年当時はディエップ工場でA110およびA310を製造しており、その後A310V6、V6GT、V6 ターボA610を生産した。またルノーのスポーツモデルや競技車両の生産も行い、さらにそれらへの部品供給もアルピーヌ社が担当した。

1995年のA610生産終了をもってアルピーヌのブランドは一旦途絶えたがアルピーヌ社とディエップ工場は存続し、ルノー・スポールブランドの第一弾となった、スパイダーを皮切りに、クリオ2 RS、クリオV6、メガーヌ2 RS、クリオ3 RSの製造を担当した。ただし全てのルノー・スポールモデルの製造を行ったわけではなく、トゥインゴ2 RSはスロベニア、メガーヌ3 RSはバレンシアで製造された。

2001年にルノーの会長に就任したカルロス・ゴーンが推進した車種拡大に伴い、2010年を目処にアルピーヌブランドを復活させることが2007年10月9日に発表された。実際には2010年はパリ・モーターショーデジールという名前の電気自動車コンセプトカーが発表されるに留まったが、そのコンセプトはルノーがスポーツカー専用モデルの復活を目論んでいることを予感させた。

そして、2012年モナコGPでコンセプトカーのアルピーヌ・A110-50英語版が登場する。同車はA110の50周年を記念するモデルと説明されたが、そのスタイリングはデジールを踏襲するもので、またミッドシップに日産・VQ35エンジンを積み、メガーヌRSのレース仕様のシャシを流用し、カーボンファイバーの車体を組み合わせるなど、小型軽量だったA110に対してスーパースポーツと呼ぶに相応しい内容だった。A110-50は同年の各種イベントに登場、またルノーと関わりの深いラリードライバーであるジャン・ラニョッティがA110-50をドライブし、A110と共演するイメージ映像も製作された。

アルピーヌ・ケータハム~独自開発へ

2012年11月5日、ルノーはアルピーヌの開発において英ケータハムと提携することを発表した。従来ルノーが100%持っていたアルピーヌの株式のうち、ケータハムがその50%を取得、2013年1月より新会社「オートモビル・アルピーヌ・ケータハム」を設立し、4年以内に新型車を発売するとしていた。しかし、2014年6月10日に合弁会社の全株式をルノーが取得し、ケータハムとの業務提携を解消してルノー独自でアルピーヌブランドのスポーツカー開発を行うことが発表された[3]

ケータハムとのアルピーヌブランドの合弁を解消したルノーは、2016年2月16日にアルピーヌブランド復活計画を発表し、同時に2017年に発売を予定していたスポーツカーのコンセプトモデル「アルピーヌ・ビジョン」を披露した[4]。このアルピーヌ・ビジョンは、かつてのA110 Berlinetteを再解釈したものである。そして2017年に開催されたジュネーブモーターショーにてA110が初公開された[5]

ルノー・スポールとの統合

2021年1月、アルピーヌはルノー・スポール(ルノー・スポール・カーズとルノー・スポール・レーシング)を吸収し、既存のアルピーヌ事業と統合して、新たなアルピーヌ事業部を設立すると発表した。またロータス・カーズと、A110の電動後継車を共同開発する覚書を締結した。同年5月1日、ルノー・スポールはアルピーヌに吸収された[6]

レース活動

1960年代初頭からさまざまなレースに参加している。

ラリー

A110は1973年初代WRCマニュファクチャラー・チャンピオンとなった。

A110がリバイバルを果たした後の2020年に、グループR-GT規定のラリーカーも発売。2021年にFIA R-GTカップのタイトルを獲得。アルピーヌがラリーのタイトルを制したのは、実に48年ぶりであった[7]

ルノー・スポール時代から開発していた、ルノー・クリオのラリー3規定(200馬力前後の4WD)車両も、プライベーターへのデリバリーが予定されている。

F1

2021年から、前年までのルノーF1チームが名称を変え「アルピーヌF1チーム」として活動している[8]

スポーツカー

ルノー・アルピーヌ A442B

スポーツカーレースでは「ルノー・アルピーヌ」として、ルノー・アルピーヌ・A442Bが、1978年のル・マン24時間レースで総合優勝した。

2013年、アルピーヌはフランスのプライベーターであるシグナテックと提携。オレカが製造し、日産製V8自然吸気エンジンを搭載したオレカ・03を「アルピーヌ・A450」としてバッジネームし、ヨーロピアン・ル ・マン・シリーズ (ELMS) のLMP2クラスに参戦。ドライバー/チームタイトルを獲得した。

2014年はル・マン24時間レースのLMP2クラスに参戦し、総合7位クラス3位に入った。ELMSでは、ドライバー/チームの両タイトルで2連覇を果たした。

2015年からFIA 世界耐久選手権 (WEC) のLMP2クラスに参戦。

2016年のWECのオペレーションは1台目はシグナテック、2台目はジャッキー・チェンのレーシングチームとのジョイントという形を取った。マシンはオレカ・05をリバッジしたA460で参戦。そしてシグナテックがル・マン24時間クラス優勝、WECのLMP2チャンピオンを獲得した[9]。2017年のル・マンはクラス3位だった。

2018-19年シーズンA470で参戦し、2年連続でル・マン24時間LMP2クラス優勝を果たし、同時に2年ぶりとなるドライバー、チームタイトルを獲得した。

そしてWECの2021年2022年に限りハイパーカークラスに、従来のLMP1(ノンハイブリッド)車両がエントリーできることを活かし、前年レベリオン・レーシングが走らせていたマシン、R13を引き継ぎ、アルピーヌ・A480として参戦した[10][11]

2021年10月、2024年からLMDhを用いてWECの最高峰クラスであるハイパーカークラスに参戦することを発表した。引き続きシグナテックと提携、オレカ製シャーシを使用し、アルピーヌ製エンジンが搭載される[12]

エスプリ アルピーヌ

ハイパフォーマンスブランドとして、2022年に登場したオーストラルにアルピーヌのスピリッツを注いだ「ESPRIT ALPINE」(エスプリ アルピーヌ)を設定。ポジショニングとしてはフォルクスワーゲンの「R-Line」やメルセデス・ベンツの「AMG-Line」、日産の「nismo」、トヨタの「GR SPORT」に近い。以降、エスパスやクリオ(日本名:ルーテシア)、ラファールなどに順次設定されている。

日本での展開

東京モーターショーでは1999年まで、ルノーブースは「ルノー」と「アルピーヌ・ルノー」の2つで申請されていた。これは、かつての日本の輸入元が、ルノーとアルピーヌで別会社であった名残りである。

2017年6月1日、ルノー・ジャポンはアルピーヌブランドのニューモデルについて、日本における輸入販売事業を行うと発表した[13]。同年10月にはルノー・ジャポン内にビジネスユニット「アルピーヌ・ジャポン」が設立され[14]、2018年9月21日から新型「A110」のカタログモデルの予約受付を開始した(発売は同年11月下旬)[15]。販売は、ルノー全国ディーラー網の中での特定店舗での取り扱いとなる。

車種

現行モデル

過去のモデル

  • A106(1955年 - 1961年)
  • A108(1958年 - 1965年)
  • A110(1962年 - 1977年)
  • GT4(1963年 - 1969年)
  • A310(1971年 - 1984年)
  • V6 ターボ(1984年 - 1991年)
  • A610(1991年 - 1995年)

コンセプトカー

レーシングカー

ルノー・アルピーヌ

ロードカー

レーシングカー

ラリーカー

脚注

  1. ^ Smith, Roy (2008). Alpine and Renault: The Development of the Revolutionary Turbo F1 Car 1968 to 1979. Veloce Publishing. pp. 18–23. ISBN 978-1-84584-177-5 
  2. ^ メガーヌ・ルノー・スポール(R.S.)が、アルピーヌ・メガーヌになる!?”. engineweb.jp. 2021年10月9日閲覧。
  3. ^ ルノー 、ケータハムとの提携を解消…アルピーヌ復活は2016年に独自開発で”. レスポンス. 2014年6月11日閲覧。
  4. ^ 仏ルノー、アルピーヌを復活。2017年に新型スポーツカーを発売へ
  5. ^ 【ジュネーブモーターショー2017】アルピーヌ A110 新型の1.8ターボは252馬力”. レスポンス. 2017年3月9日閲覧。
  6. ^ ルノースポール・カーズをアルピーヌ・カーズに再編”. レスポンス(Response.jp). 2021年10月9日閲覧。
  7. ^ 48年ぶりにアルピーヌがラリーでシリーズ・タイトル獲得 A110がFIA RGTカップを制覇
  8. ^ ルノーが2021年から『アルピーヌF1チーム』に名称変更。マシンカラーも一新へ | F1 | autosport web”. AUTO SPORT web (2020年9月6日). 2021年1月14日閲覧。
  9. ^ WEC:ラピエールがシグナテック残留。アルピーヌとLMP2連覇に挑む
  10. ^ LMP1マシンでハイパーカークラスに参戦するアルピーヌ、ドライバーラインアップを発表 - オートスポーツ・2021年1月27日
  11. ^ アルピーヌ、WECハイパーカークラスに参戦するノンハイブリッドLMP1マシン『A480』を公開”. autosport web. 2021年3月17日閲覧。
  12. ^ アルピーヌ、LMDhでのWEC参戦を発表。2024年開始のプログラムはF1チームとの相乗効果も利用”. autosport web. 2021年10月6日閲覧。
  13. ^ ルノー・ジャポン、アルピーヌの販売を発表”. webCG (2017年6月1日). 2023年7月18日閲覧。
  14. ^ 「A110」登場は年明け アルピーヌ・ジャポンが始動”. webCG (2017年10月11日). 2023年7月18日閲覧。
  15. ^ アルピーヌが「A110」のカタログモデルを予約受注開始”. webCG (2018年9月21日). 2023年7月18日閲覧。

関連項目

外部リンク


ルノー / アルピーヌ(2020年・2021年 - )

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/04 14:07 UTC 版)

パット・フライ」の記事における「ルノー / アルピーヌ(2020年・2021年 - )」の解説

ガーデニング休暇経て2020年シーズンよりルノーF1移籍しシャーシ部門テクニカルディレクター就任チームワークス体制2016年復帰してから初の表彰台入賞し前年成績上回るマシン開発貢献した2021年シーズンからチームコンストラクター名が「アルピーヌF1」にリニューアル改称することになり、引き続きチームテクニカルディレクター務める。

※この「ルノー / アルピーヌ(2020年・2021年 - )」の解説は、「パット・フライ」の解説の一部です。
「ルノー / アルピーヌ(2020年・2021年 - )」を含む「パット・フライ」の記事については、「パット・フライ」の概要を参照ください。

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