ルニョーによる発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/19 06:14 UTC 版)
気体の性質については、17世紀には盛んに研究がすすめられ、ボイルの法則やシャルルの法則などが発見されていた。そして19世紀に入った1802年、ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサックは、気体の体積は温度が1℃上昇すると266分の1だけ増加し、この増加の割合は気体の種類によらないという実験結果を発表した。さらに同じ時期に、ジョン・ドルトンも同様の結果を導き出した(しかし後に、ドルトンの測定値には計算の誤りがあり、実際はゲイ=リュサックの値とは異なっていることが明らかになっている)。 気体の熱膨張率が気体の種類によらないというゲイ=リュサックらの実験結果から、気体は物質の種類とは無関係の熱の普遍的な性質が現れると考えられるようになった。さらに、気体は固体や液体よりも熱膨張しやすく観測が容易であることも相まって、19世紀前半になると、熱学において気体の研究は重要な位置を占めるようになった。 しかしその後、このゲイ=リュサックの結果に対して疑問が抱かれるようになった。フレードリク・ルードベリ(ドイツ語版)は1837年の論文で、ゲイ=リュサックの実験は空気を乾燥していない条件での数値であって、乾燥させた空気では値が異なってくることを明らかにした。ハインリヒ・グスタフ・マグヌスはルードベリの実験を追試するとともに、体積が膨張する割合は気体によって異なることを発見した。 アンリ・ヴィクトル・ルニョーは1842年の論文で、様々な気体について精密に実験した結果を発表した。そして、ゲイ=リュサックらによる気体の基本的な性質が成り立つのは、特殊な条件下にある気体、すなわち理想気体に限られることを見出した。さらにルニョーは、気体が圧縮された状態にあると、理想気体からのずれは大きくなることを発見した。ルニョーは、これは圧縮によって分子間の引力が強くなったためだと推察した。 分子間力も考慮に入れた状態方程式は、1873年、ヨハネス・ファン・デル・ワールスによって作られた。
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