リチャード・ベイカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/22 18:35 UTC 版)
リチャード・ベイカー L. Richard Baker III |
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誕生 | ![]() |
職業 | ゲームデザイナー |
国籍 | ![]() |
教育 | ヴァージニア工科大学 |
ジャンル | ロールプレイングゲーム、ファンタジー、サイエンス・フィクション |
配偶者 | キム・ロールバック |
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L・リチャード・ベイカー3世(L. Richard Baker III)は、アメリカ合衆国の作家、ゲームデザイナー。ダンジョンズ&ドラゴンズのキャンペーンセッティングを手掛けた。
生い立ち
ベイカーはフロリダで生まれ育ち、10歳の時に家族と共にニュージャージーに移り住んだ[1]。1988年にヴァージニア工科大学を卒業し、英語の学位を取得した[1]。後にアメリカ海軍少尉に任官し、USSトルトゥーガで3年間甲板部士官として勤務した。彼は水上戦士官の資格を取り、海軍を去る頃には中尉となっていた[1]。大学時代の恋人キム・ロールバックと結婚し、アレックスとハンナという2人の娘がいる[2]。
キャリア
ベイカーは新しいキャリアを探し始め、TSRでそれを見つけた。
1991年にTSRに入社した後、1998年までに30以上のゲーム製品と多くの雑誌記事を出版した[1]。ベイカーは、スペルジャマーの「Rock of Bral」や、フォーゴトン・レルム、プレインスケープ、レイヴンロフトなどゲーム製品の執筆からスタートした[1]。ベイカーとコリン・マッコームは「バースライト」のキャンペーン設定を共同でデザインした[3]。「Birthright Campaign Setting」セットは、オリジン賞の「Best New Role-Playing Supplement」を受賞した。「私はこの作品をとても誇りに思っている。これは伝統的なファンタジー・ロールプレイング・キャンペーンに対する全く新しいアプローチを表しており、世界そのものが強い歴史的感覚に満ちている」と語っている[1]。ベイカーはまた、AD&D第2版マニュアルのPlayer's Optionシリーズの開発を監督し、「World Builder's Guidebookの仕事は非常に楽しかった」と述べている[1]。
ベイカーはその後、SFゲーム『Alternity』を共同デザインした。
他の仕事も誇りに思っているが、ビル(・スラヴィセク)と私が『Alternity』のゲーム・システムに費やした仕事から最も多くを学んだだろう。新しいロールプレイング・ゲームを一からデザインすることは非常に複雑な仕事だが、その結果には非常に満足している。」[1]
『Alternity』はTSRがまだ活動している間に完成し、Amazing Engine[注 1]に代わって同社の一般的なSFRPGシステムとなる予定だったが、結局リリースされなかった。後に、TSRを買収したウィザーズ・オブ・ザ・コーストがこのゲームを発売した[3]。ベイカーは『Star*Drive』や『Dark•Matter』など『Alternity』向けキャンペーン・セッティングにも取り組み、一時期クリエイティヴ・ディレクターを務めた[1]。他にもベイカーは、様々なセッティングの小説もいくつか書いている[1]。
彼の主なゲーム作品には、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(第3版、第4版)、『Axis & Allies Miniatures』、『Axis & Allies Naval Miniatures: War at Sea』、および数多くのD&Dのアドベンチャーやソースブックがある[2]。
ベイカーはニュージャージー州の後、ヴァージニア州、ロードアイランド州、再びヴァージニア、ルイジアナ州、3度目のヴァージニア、ウィスコンシン州と移り住み、現在はワシントン州オーバーンに妻のキム、2人の娘、猫と住んでいる。ゴールデンエイジSFとフィラデルフィア・フィリーズのファン。
ベイカーはWotCのフォーゴトン・レルムと第3版D&Dのコア・アクセサリ・ブックの中心人物であり、フェイルーン大陸とその地を舞台にした小説の著者でもある。彼はまた、WotCウェブサイトのフォーラムでフォーゴトン・レルムに関する質問に答えていた。
ベイカーは、ジェームズ・ワイアット、マシュー・サーネット、エド・スターク、ミシェル・カーター、ステイシー・ロングストリート、クリス・パーキンスからなるSCRAMJETチームを率いていた。このチームは、第4版の開発中にD&Dの設定と宇宙観を更新した[3]。ベイカーとブルース・コーデルは、第4版D&Dのルールに基づいて『Gamma World』(2010年)の新作を執筆した。彼はまた、D&D第4版ダーク・サン・キャンペーン・セッティングのデザイン責任者でもあり、同版のゲームでは他にも多くの功績を残している。
2011年12月14日、ベイカーは自身のWizards.comのコミュニティ・ページで、WotCが彼の役職を廃し、彼が同社の社員ではなくなることを発表した。彼はフォーゴトン・レルムの小説の執筆を続ける可能性を認めており、同社のミニチュア・ラインのデザイン作業をフリーランスで続けることを希望していた[4]。
2020年にベイカーは自身のブログで、コンピュータゲーム『The Elder Scrolls Online』のシニアライターとしてゼニマックス・オンライン・スタジオに参加することを発表した[5]。
バイオグラフィ
フォーゴトン・レルム・アクセサリ・ブック/アドベンチャー・モジュール
- Unapproachable East (2003)
- Player's Guide to Faerûn (2004)
クリエイティヴ・ディレクター
- Magic of Faerûn (2001)
- Lords of Darkness (2001)
- Races of Faerûn (2003)
製作
- フォーゴトン・レルムワールドガイド/Forgotten Realms Campaign Setting (2001)
- Lords of Darkness (2001)
- Races of Faerûn (2003)
- Unapproachable East (2003)
- アンダーダーク/Underdark (2003)
ダーク・サン・アクセサリ・ブック/アドベンチャー・モジュール
- Valley of Dust and Fire (1992)
- The Will and the Way: Psionicists of Athas (1994)
- Dragon's Crown (1993)
- Merchant House of Amketch (1993)
その他ダンジョンズ&ドラゴンズ・アクセサリ・ブック/アドベンチャー・モジュール
- Player's Option: Spells & Magic|Spells & Magic (1996)
- World Builder's Guidebook (1996)
- Planescape Monstrous Compendium II (Planescape) (1999)
- 秘密の工房/The Forge of Fury (2000)
- Complete Arcane (2004)
- Tome of Battle (2006)
- 赤い手は滅びのしるし/Red Hand of Doom (2006)
- Lost Mine of Phandelver (2014)
Gamma World 7th Edition
- Gamma World Roleplaying Game Rulebook (with Bruce R. Cordell) (2010)
- Gamma World Roleplaying Game Expansion: Legion of Gold (with Bruce R. Cordell) (2011)
小説
- The Adventures
- The Shadow Stone (1998)
- Double Diamond Triangle Saga
- Easy Betrayals (1998)
- Star*Drive
- Zero Point (1999)
- Birthright
- The Falcon and the Wolf (2000 online publication [1])
- The Cities
- The City of Ravens (2000)
- (R.A. Salvatore's) War of the Spider Queen
- Condemnation (2003)
- The Last Mythal
- Forsaken House (2004)
- Farthest Reach (2005)
- Final Gate (2006)
- Blades of Moonsea
- The Swordmage (2008)
- Corsair (2009)
- Avenger (2010)
- Breaker of Empires
- Valiant Dust (2017)
- Restless Lightning (2018)
- Scornful Stars (2019)
ボードゲーム
- Risk Godstorm (2004)
- Ultimate Scheme (2017)
脚注
注釈
- ^ 1993年から1994年にかけて、TSRから出版されたTRPGの書籍シリーズ。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k Kenson, Stephen (June 1999). “ProFiles: Rich Baker”. Dragon (Renton, Washington: Wizards of the Coast) (#260): 112.
- ^ a b “Rich Baker”. 2009年2月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月9日閲覧。
- ^ a b c Shannon Appelcline (2011). Designers & Dragons. Mongoose Publishing. ISBN 978-1-907702-58-7
- ^ “Wizards of the Coast” (英語). Wizards of the Coast. 2021年2月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月22日閲覧。
- ^ richardbakerauthor (2020年2月20日). “Eastbound!” (英語). Richard Baker. 2021年6月22日閲覧。
外部リンク
- “Richard Baker at RPG Database Pen & Paper”. 2008年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年4月9日閲覧。
- Wizards.com interview
- The old 'Ask Richard Baker' thread at wizards.com forums
- The old 'Ask the Core Rules and Supplement Authors' thread at wizards.com forums
- The new 'Ask the Core Rules and Supplement Authors' thread at wizards.com forums
- Rich Baker's Blog at wizards.com Archived from the original on June 17, 2013.
- Rich Baker's Blog
- Richard Baker - Internet Speculative Fiction Database
- リチャード・ベイカーのページへのリンク