リズモア司祭の書
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「ジェイムズ・マクファーソン (詩人)」の記事における「リズモア司祭の書」の解説
リズモア司祭の書(英語版)(リスモール司祭の書)という1512年-に編纂された、音写表記のゲール語本写本がある。これは、一般にゲール語の最古の写本とされている。(これより古い写本は、アイルランド語(もどき)の文語とされる)。これを、マクファーソンのオシアン詩集の原典に見立てるには無理がある。実際に日本語訳者が例に挙げている1篇の詩「フィン王に会ってから昨日で六日目になる...」も特にどの詩と似てるともいえない。ただ、フィンのことを「フィン王」と呼んでおり、これはアイルランド伝承のフィアナ一団の長という設定とは異なる。しかし、この写本には、オシアンの語り相手が聖パトリックである詩も含まれ、そうなるとアイルランドが舞台であることを否定するのが難しい。マクファーソンは、おそらくこのことを知りつつ、聖パトリックは作品に登場させないようしている。 また、ジョン・キャンベルが「タイモーラの出来事は、細部にいたるまで1530年のアラン・マクロイレ(Allan MacRoyre)の歌に出ている」と言っているのは、まだリズモア司祭の書の編本をきちんと確認しないで記述した勇み足である。キャンベルの1972年の著書を見れば、どの詩を指しているのかわかるが、もちろん、「タイモーラ」克明になぞっている詩だなどとは言い難い。 更には、リズモア司祭の書(スコットランド国立図書館所蔵72.1.37写本)をはじめとする写本群をマクファーソンが入手しており、1762年に展示されたのはこれらだとする仮説が近年になって登場し(Mackintosh 1936, Stafford 1988)、訳者の中村もこれをそのまま受け継いでいるが、これは疑問視されており、Gaskill は、筆記記述(transcripts)が書店で閲覧されたのではと説く。 近年のデリック・トムソン(英語版)(Derick S. Thomson)も写本存在説を分析したが、結局、マクファーソンは口承文学を、数々の写本と照合させて書いたのかも知れないが、オリジナルの登場人物とアイディアによって脚色し、相当量自分で作ったものを入れ込んだのではないかと述べた。
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