リアルタイム用途のシェーダー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/31 11:52 UTC 版)
「シェーダー」の記事における「リアルタイム用途のシェーダー」の解説
ゲームなどのリアルタイムレンダリングでは、例えば60FPSの場合1フレームの描画にかけられる時間は最大でもわずか16ミリ秒程度であり、また頂点情報やテクスチャデータの格納・参照に使用できるビデオメモリ(グラフィックスカードに直結実装されたVRAM)の容量といった制約条件が多い。そのため、リアルタイム用途のシェーダーでは、相互反射などを考慮しない、低品質だが簡潔で高速な局所照明(ローカルイルミネーション)ベースの陰影計算モデルやZバッファ技法が用いられることが大多数である。GPUの進化とリアルタイム用プログラマブルシェーダーの発展を受けて、アルゴリズムやデータ構造を工夫してグローバルイルミネーションをリアルタイム実装している例(PRT、ライトフィールド、ISPM、SVO-GI法やNVIDIA GI WorksのCLIPMAP法など)も出てきているが、高性能なハードウェアを要求するなど、2018年時点でも未だ発展途上の技術である。シャドウや多光源環境のライティングに関しても、CSM/PSSMといった種々のシャドウマップ派生技術、および遅延シェーディング・遅延ライティングなどが考案されているが、時間および資源の制約が足かせとなり、品質や柔軟性はプロダクションレンダリングに及ばない。 リアルタイム用途のシェーダーはしばしばCGプロダクションソフトウェアのプレビューにも用いられる。最終出力に必要な高資源・高品質なレンダリング(レンダリング方程式(英語版)に基づくレイトレーシングやラジオシティ、フォトンマッピングなど)の代わりにリアルタイム用途のシェーダーを用いることで素早いプレビューが可能になる。例えばAutodesk 3ds Max、Autodesk Maya、Autodesk Softimage、およびNewTek LightWave 3Dはいずれもプログラマブルシェーダーによるプレビューを実装している。また2DCGソフトウェアにもアクセラレータとしてしばしば導入される(例: Adobe PhotoshopやAdobe Flash)。GUIベースオペレーティングシステム (OS) のデスクトップ合成エンジンや標準2DグラフィックスAPIでも、Windows Aero/Direct2D (Windows) やQuartz Extreme/Core Image (macOS) などのように、GPUおよびプログラマブルシェーダーが活用される。
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