ラートブルフの自然法論批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/18 15:51 UTC 版)
「自然法論」の記事における「ラートブルフの自然法論批判」の解説
グスタフ・ラートブルフによれば、狭義の法学とは、実定法の客観的意味に関する科学である。法学が実定法のみと関わる以上、それは法の価値を取り扱う法哲学およびその価値の実現に役立つ法政策と異なる学問領域に属する。なるほど、実定法にもまた理念は存在するが、それは(1)単なる法適合性としての正義(すなわちある行為が実定法に合致しているかどうかということ)、(2)価値相対主義に服する合目的性、そして(3)法的安定性である。 自然法が呼び求められていたのは、lex legum(法律の法)をそこに見出すためであり、普通法の混乱の中に確固たる原理を見出すためであった。そして、その代わりに生じたことは、自分で法の不安定に貢献したことだった。方法論的自覚の欠如、自然法の哲学と自然法自体との矛盾からもまた当然の報いをうけた。自分だけの法意識を普遍妥当的な法源だと考えることに慣れ、また紙の上なら何でも書けるので紙に書いただけで自然の声だと称したとき、あらゆる恣意の制限は失敗に帰し、結局は全てが動揺せざるをえなくなった。 — ラートブルフ『自然法と実定法』
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