ラスト3戦の直接対決
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 04:33 UTC 版)
「1994年のF1世界選手権」の記事における「ラスト3戦の直接対決」の解説
スペインのへレスサーキットで開催された第14戦ヨーロッパGPでは、シューマッハは3ストップ作戦を敢行。対するヒルは2ストップ作戦を選択。結果、シューマッハが3回目のピットストップを終えると、ヒルより20秒近くも前方で首位をキープしており、ヨーロッパGPはシューマッハが勝利。鈴鹿サーキットにて行われた第15戦日本GPは、予選2日目は雨の中行われ、結果はシューマッハがPPとなり、ヒルは2番手となった。だが、決勝当日はさらに激しい雨に見舞われ、コース上はアクアプレーニングにてスピンアウトする車が続出し、レース自体も危険な状況となり一時はセーフティカーも出ていた。そんな中、リタイアした車を撤去していたコースマーシャルが、コースアウトしてきたマクラーレンのマーティン・ブランドルの車にはねられてしまうというアクシデントが発生した。このアクシデントのため、レースは赤旗中断となり、審判団は日本GPを再スタート後に2ヒート制(中断前のレースのタイムと中断後のレースのタイムを加算して順位を決める方式)にて行うことを決定。1回目終了時点ではシューマッハがトップ、ヒルが2位であったが、2回目のレースではヒルがトップでチェッカーを受けた。同時に2ヒート制のため、2回目のレースでヒルが逆転する結果となり、日本GPはヒルが勝利することとなった。この結果により、ワールドチャンピオンの行方は最終戦オーストラリアGPにその差1ポイントで持ち越しとなった。 オーストラリアGP予選PPはヨーロッパGPから復帰していたマンセルが獲得し、2位シューマッハ、3位ヒルと並んだ。決勝はマンセルがスタートで出遅れ、シューマッハがトップに立ち、ヒルが後を追う展開となった。シューマッハとヒルは共にファステストラップを出しながら3位以下を引き離しその差2秒以内の攻防が続いた。トップこそ許したヒルであったが、この日はピットストップもシューマッハと同一周回にて行う作戦を遂行、常にすぐ後方からシューマッハにプレッシャーをかけ続ける作戦を選んだ。そして、36周目、シューマッハがマシンを滑らせコースアウトし、ウォールに右タイヤを激突させながらも何とかコースに復帰するが、後方のヒルがここぞとばかりに右曲がりのコーナーでインを突いたものの、シューマッハもアウト側からマシンを被せて両者接触。ヒルの左前輪にシューマッハの車が乗り上がる形となり、シューマッハはそのままウォールに激突し、その場でリタイアとなった。シューマッハのリタイアによってヒルがトップに立ち、このまま5位以上でゴールをすれば逆転でチャンピオンになれたが、シューマッハの車がヒルの左前輪に乗り上がった時にすでにサスペンションアームが損傷を受けていたため、ピットまで戻ったもののレース続行不可能となり、ヒルもリタイアとなった。この瞬間シューマッハが初めてのワールドチャンピオンに輝き、1994年シーズンの戦いに終止符が打たれることとなった。
※この「ラスト3戦の直接対決」の解説は、「1994年のF1世界選手権」の解説の一部です。
「ラスト3戦の直接対決」を含む「1994年のF1世界選手権」の記事については、「1994年のF1世界選手権」の概要を参照ください。
- ラスト3戦の直接対決のページへのリンク