モダン・ジャズにおけるトロンボーンとJ.J.
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 03:15 UTC 版)
「J・J・ジョンソン」の記事における「モダン・ジャズにおけるトロンボーンとJ.J.」の解説
スウィング・ジャズ時代には花形楽器だったトロンボーンだが、モダン・ジャズ時代になるとあまり省みられなくなった。その理由のひとつにトロンボーンの持つ構造的特徴がある。 トロンボーンはトランペットやサックスのようにバルブやキーを操作することで音階を変化させるのではなく、スライドを伸縮させることによってそれを行う。このことが楽器としてきわめて特徴的な機能、例えば中間音(ハーフトーンやクォータートーン)を容易に出せる、スライドトーンといった表現が可能である等をもたらした。 これらの特性はトロンボーンにハーモニー楽器としての位置付けをなし、アンサンブルを重視するビッグバンド・ジャズにおいてバンドや曲自体の性格を決定する「核」としての役割を果たすこととなった。 しかしその後に訪れたビバップ時代は、スピード感あふれる素早い音の切り替えや高音域までカバーする幅広い音階を多用したアドリブ(インプロヴィゼーション)プレイ重視となり、前述したトロンボーンの楽器としての特徴は逆に欠点(スライドの移動距離が大きく素早いフレーズを吹きにくい、音程が狂いやすい、音と音の切り替えがあいまい等)となって、ジャズ楽器の主流の座を失っていった。 J・J・ジョンソンは「トロンボーンのディジー・ガレスピー」と形容された超絶的技巧をもってこの欠点を克服し、モダン・ジャズのトップ・プレイヤーの地位を確立すると同時に、以降の時代におけるトロンボーンのジャズ楽器としての可能性を示し、多くの後進たちに多大な影響を与えた。その高速フレージングは、わざわざアルバム・ジャケットに「バルブトロンボーンに非ず」との注記まで付けられたほどである。
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