ムーア浴場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/12/27 11:48 UTC 版)
博物館の地階には、マリーン朝がここを支配していた14世紀頃に造られたムーア浴場の跡がある。このプライベート用の浴場は、ジブラルタル総督の公邸にあったと言われている。ここはイギリス軍が所有する間は馬小屋として使われ、うち一つの部屋は大型四輪馬車が空きスペースに入れるよう床を底上げされた。ジブラルタル包囲戦の際、建物が深刻なダメージを受けたため、浴場は当初より狭くなっている。ここはヨーロッパで最も保存状態の良いムーア浴場の一つである。ムーア人の遺物に詳しい Budgett Meakin は、この浴場について1906年に次のように記している。 “ アルハンブラ宮殿を除けば、これに匹敵するものはスペインには無い。モロッコではこの種の浴場をキリスト教徒やユダヤ教徒は使わないであろうから、ことさら興味深いものである。 ” 博物館の庭にある遺跡には、スペイン時代に遡る水路が見られる。この水路はリン・ウォール・ロードから庭に入ってきており、町の南の湧水からその道に沿って流れていた人工の送水路から来たものだと考えられる。この水路は各部屋の中を流れ、中庭の下にある水槽に流れ込んでいた。 この浴場は古代ローマのハイポコーストに似た部屋構成になっており、常温の着替え室と、冷房室、暖房室がある。床下の管を暖かい空気が循環し、床暖房となっていたようである。入浴の手順は、暑い部屋と涼しい部屋に交互に入り、汗で体を清めるという現代のサウナ風呂のようなものだったと考えられる。
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