ミヤマヒキオコシとは? わかりやすく解説

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ミヤマヒキオコシ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/13 03:43 UTC 版)

ミヤマヒキオコシ
高知県筒上山 2025年10月上旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : シソ類 Lamiids
: シソ目 Lamiales
: シソ科 Lamiaceae
亜科 : シソ亜科 Nepetoideae
: ヤマハッカ属 Isodon
: ミヤマヒキオコシ
I. shikokianus
学名
Isodon shikokianus (Makino) H.Hara (1949) var. shikokianus[1]
シノニム
  • Isodon excisus var. shikokianus (Makino) Kudô[2]
  • Plectranthus excisus var. shikokianus Makino[3]
  • Plectranthus shikokianus (Makino) Makino (1922) var. shikokianus[4]
  • Rabdosia shikokiana (Makino) H.Hara (1972) var. shikokiana[5]
和名
ミヤマヒキオコシ

ミヤマヒキオコシ(深山引起こし、学名Isodon shikokianus)は、シソ科ヤマハッカ属多年草[6][7][8]

特徴

は高さ30-80cmになる。は対生し、葉身は卵形で、長さ3-9cm、幅1.5-4cmになり、先端は鋭くとがり、縁には粗く鋭い鋸歯が生え、基部はくさび状になって葉柄につづく。葉の表面にまばらに毛が生える[6][7][8]

花期は8-10月。は明らかな2唇形で、上唇は3裂し、裂片は狭三角状披針形となり先が細く伸びてやや反曲し、下唇は2浅裂し、上唇よりやや長くなり、裂片の先は鈍頭となる。果時の萼裂片の長さは4-5mmになる[6][7][8]花序は茎先に1個でるか、各葉腋に多数でる[9]花冠は青紫色で長さ5-7mmとなり、上唇は4裂する。雄蕊は4個あり、雌蕊1個ある。果実は4個の分果からなり、球形で長さ約1.8mmになり、表面は平滑である[6][7][8]

分布と生育環境

日本固有種。本州の紀伊山地と四国に分布し[10]、深山の林内の木陰に生育する[6][8]

名前の由来

和名ミヤマヒキオコシは、「深山引起こし」の意[6]種小名(種形容語)shikokianus は「四国産の」意味[11]牧野富太郎高知県手箱山で採集したものをもって命名された[12][13]

種の保全状況評価

国(環境省)でのレッドデータブックレッドリストの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は、奈良県が絶滅危惧種、高知県が準絶滅危惧(NT) になっている[14]

ギャラリー

下位分類

次に示す変種がある[8]

タカクマヒキオコシ

タカクマヒキオコシ(高隅引起こし、高隅引起)Isodon shikokianus (Makino) H.Hara var. intermedius (Kudô) Murata (1955)[15] - 茎は四角形で下向きの毛があり、高さ50-80cmになる。葉身は細く、広披針形から長楕円状卵形で、長さ5-13cm、幅1.5-4cmになり、縁の鋸歯は低く、先がとがる。葉の両側にまばらに毛が生える。花期は8-10月。茎の先端に総状花序をつけ、花冠は青紫色で長さ7-12mmとなる。染色体数は2n=24。日本固有種。本州の福島県以南の太平洋側から、瀬戸内海沿岸、四国、九州に分布し、ブナ帯林などの落葉樹林の林下や林縁に生育する[6][7][8][16]和名タカクマヒキオコシ(高隅引起)は、鹿児島県高隈山に由来する[17]変種intermedius は「中くらいの」「中間の」の意味[18]

サンインヒキオコシ

サンインヒキオコシ(山陰引起)Isodon shikokianus (Makino) H.Hara var. occidentalis Murata (1955)[19] - 茎は四角形で下向きの毛があり、高さ40-80cmになる。葉身はより広く、長卵形で、長さ5-15cm、幅2-6cmになり、基本種のミヤマヒキオコシと比べ、縁の鋸歯は粗く少ない。葉の表面にまばらに毛が生え、中央の葉脈上に伏毛が密生する。花期は8-10月。花冠は青紫色でやや長く、長さ12-17mmとなり、同属のアキチョウジに似てくる。染色体数は2n=24。日本固有種。本州の富山県から山口県までの日本海側に分布し、ブナ帯林などの落葉樹林の林下や林縁に生育し、ときに群生する[6][7][8][16]。変種名 occidentalis は「西方の」「西部の」の意味[20]

自然雑種

ヤマハッカ属には属内のほとんどの種間に自然雑種が報告されている[21]。この種に関連するものに次の雑種がある。

  • クロバナサンインヒキオコシ Isodon × kurobanasaninhikiokoshi Murata (1993)[22] - サンインヒキオコシ×クロバナヒキオコシ
  • タカクマアキチョウジ Isodon × takakuma-akichoji Murata (1993)[23] - アキチョウジ×サンインヒキオコシ

脚注

  1. ^ ミヤマヒキオコシ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ Isodon excisus var. shikokianus (Makino) Kudô” (英語). www.gbif.org. 2025年11月12日閲覧。
  3. ^ Plectranthus excisus var. shikokianus Makino” (英語). www.gbif.org. 2025年11月12日閲覧。
  4. ^ ミヤマヒキオコシ(シノニム) 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  5. ^ ミヤマヒキオコシ(シノニム) 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  6. ^ a b c d e f g h 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』pp.438-439
  7. ^ a b c d e f 『原色日本植物図鑑 草本編I(改訂版)』p.165
  8. ^ a b c d e f g h 米倉浩司 (2017)『改訂新版 日本の野生植物 5』「シソ科」pp.140-143
  9. ^ 村田源「植物分類雑記3」『植物分類・地理 (Acta Phytotaxonomica et Geobotanica)』第16巻第2号、日本植物分類学会、1955年、44-47頁、doi:10.18942/bunruichiri.KJ00003217456 
  10. ^ 門田裕一 (2011)「シソ科」『日本の固有植物』pp.122-126
  11. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1513
  12. ^ Tomitaro Makino「日本植物報知 第十五」『植物学雑誌 (The Botanical Magazine)』第6巻第60号、東京植物学会、1892年、54頁、doi:10.15281/jplantres1887.6.45 
  13. ^ 牧野富太郎「日本植物新研究の発表(承前)」『植物研究雑誌 (The Journal of Japanese Botany)』第2巻第6号、牧野富太郎、1922年、24頁、doi:10.51033/jjapbot.2_6_220 
  14. ^ ミヤマヒキオコシ、日本のレッドデータ検索システム、2025年11月11日閲覧
  15. ^ タカクマヒキオコシ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  16. ^ a b 『広島の山野草 秋編』pp.172-173
  17. ^ Takenoshin Nakai「Notulæ ad Plantas Japoniæ et Coreæ XXX」『植物学雑誌 (The Botanical Magazine)』第37巻第437号、東京植物学会、1923年、81頁、doi:10.15281/jplantres1887.37.437_en69 
  18. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1497
  19. ^ サンインヒキオコシ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  20. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1505
  21. ^ 米倉浩司 (2017)『改訂新版 日本の野生植物 5』「シソ科」p.143
  22. ^ クロバナサンインヒキオコシ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  23. ^ タカクマアキチョウジ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献




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