マネー・ボールへの反発と波及
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/05 16:18 UTC 版)
「マネー・ボール」の記事における「マネー・ボールへの反発と波及」の解説
『マネー・ボール』が世に出ると、日米で大きな反響と議論を呼んだが、歴史のある野球界においてはその主張が余りにも突飛であり、かつ旧来の野球観を揶揄・否定するような記述が多かったため、一部の人々から反発と反感を買った。そのような人々は「スモールボールこそ至高の戦術、スマート・ボール(スマートな戦い方)である」と崇拝し、当時のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムに代表される機動力野球(+早打ち)に賞賛を惜しまず、逆にアスレチックスのような「不動戦法」を無策・無能として下に見る傾向が強かった。彼等がスモールボールをことさらに礼賛する時、その裏側には対立概念であるマネー・ボールを貶めようとする情念が透けて見える。 しかし、長打力偏重の「ビッグボール」が主流となりつつあった当時のMLBにおいて、ビーンの方法論は従来のビッグボールにセイバーメトリクスの価値観を付与し双方の有効性を極限まで突き詰めた戦術であると言え、次第にこれを模倣する球団が次々に現れるようになり、やがてビッグボールを実践するにあたってデータを重視すること、特に出塁率(四球)に注目することはどのチームにとっても当然のこととなった。 その上『マネー・ボール』が発表されその内容について一定の評価を得て以降、「マネー・ボール」とは単なる著書名に留まらず、「出塁率(特に四球の多さ)を重視する」「盗塁と犠打は極力避ける」「ドラフトでは高校生よりも大学生を優先指名する」など、「セイバーメトリクスに基づいた理論・戦略・戦術・作戦・選手評価システム・補強・編成・マネジメント」の総称としても用いられるようになっている。
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