マネー・ボールの本質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/05 16:18 UTC 版)
「マネー・ボール」の記事における「マネー・ボールの本質」の解説
ただし、マネー・ボールの思想は原書の副題(The Art of Winning An Unfair Game:不公平なゲームに勝つための技術)にある通り、「低予算でいかに好チームを作り上げるか」という発想が根幹にある。例えば、ビーンが出塁率(四球)を重要視したのは、単にそれ自体が理に適っているということ以上に、他チームがそれを軽視していたがためにセレクティブ・ヒッター(選球眼が鋭い打者)を安価で獲得することが出来たからである。仮に他チームも同様に出塁率を重要視している状況であれば、当然セレクティブ・ヒッターを安価で獲得することは叶わずマネー・ボールは成り立たない。すなわち、マネー・ボールとは貧乏球団が金満球団と互角に戦うために編み出された「苦肉の策」であり、言わば「貧者の野球理論」なのである。 なお、統計学の分析手法に基づいて出塁率と長打率を重んじ、犠打や盗塁は非効率的として極力敬遠するというマネー・ボール的戦術は、1960年代末から1980年代にかけて4度のリーグ優勝を果たしたボルチモア・オリオールズによって既に取り入れていたものであり、「1点しか取りに行かなかったら、1点しか取れない」と考えたアール・ウィーバー監督(当時)は、小技とスピードに依存することを潔しとせず、「投手力と守備力、3ラン・ホームラン」を信条としていたことで広く知られている。作中でも度々言及されている通り、ビーンの方法論はビーン自身が独自に創り出したものと言うより、様々な人物が考案した理論を統合して高度に体系化し実践したものである。
※この「マネー・ボールの本質」の解説は、「マネー・ボール」の解説の一部です。
「マネー・ボールの本質」を含む「マネー・ボール」の記事については、「マネー・ボール」の概要を参照ください。
- マネー・ボールの本質のページへのリンク