ポリトープとは? わかりやすく解説

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ポリトープ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/16 06:06 UTC 版)

初等幾何学における超多面体(ちょうためんたい、: poly­tope; ポリトープ)は、平坦な縁を持つ幾何学的対象である。任意の有限次元において存在し、各次元 n における超多面体を n-次元(超)多面体 (n-poly­tope) と呼ぶ。例えば二次元多面体は多角形、三次元多面体は通常の多面体である。多辺形や多面体のときと同様、「中身の詰まった」(solid) な n-次元多面体だけでなく、一般にはその境界である (n − 1)-次元図形を指して n-次元多面体と呼ぶことが多々あるので、文脈に注意すべきである。

超多面体の更なる一般化として、非有界な超無限面体英語版や、曲がった多様体三角形分割英語版や単体分割あるいは空間充填(例えば、球面多面体英語版、および集合論的な抽象多面体英語版などが現れる理論もある。

三次元より高次の超多面体を最初に考え出したのはルートヴィヒ・シュレーフリである。ドイツの数学者ラインホルト・ホッペ英語版によりドイツ語: poly­topが造語され、それを poly­topeとして英語に導入したのはアメリカ人数学者のアリシア・ブール・スコット英語版である。

次元ごとの名称
次元 英語 日本語
任意 polytope 超多面体
(多胞体)
n n-polytope n-次元(超)多面体
n-次元多胞体)
0 point
1 segment 線分
2 polygon 多角形
3 polyhedron 多面体
4 polychoron 多胞体
5 polyteron ポリテロン
6 polypeton ポリペトン
7 polyexon ポリエクソン
8 polyzetton ポリゼトン
9 polyyotton ポリヨトン
5次元以上の英語名は、ジョージ・オルシェフスキーオランダ語版 (George Olshevsky) による提案名であり、必ずしも広く受け入れられているわけではない。それぞれ
四次元単体である五胞体は五つの頂点と五つの四面体胞を持つ自己双対超多面体である。

超多面体が同じ数の頂点とファセット・辺と稜・面と峰…を持ち、接続関係も同じであるならば、双対図形がもとの図形と相似になることが起こり得る。そのような超多面体は自己双対であるという。

よく知られた自己双対超多面体として以下を挙げることができる:

一般化

超無限面体

必ずしもすべての多様体が有限でない。超多面体を多様体の単体分割として理解する立場からは、超多面体を無限多様体に対しても拡張して考えることは可能である。そのような意味での超多面体は、平面分割、空間充填ハニカム双曲型充填英語版によって可能で、それらは無限個の(余次元 1 の)面 (cell) を持つから無限面体英語版と呼ばれることがある。

これらの中には、その正則形として例えば非平面的正多面体英語版(面や頂点形状英語版が平面的でないという意味で非平面的)があり、ほかに例えば正無限角形英語版、正方形分割、立方体ハニカム、……の成す無限系列などが挙げられる。

抽象超多面体

抽象超多面体の理論は、超多面体を何らかの空間内にある対象と考えることから離れて、純組合せ論的性質のみに着目する試みである。これにより、例えば11胞体英語版のような、土台となる空間が直観的に定義困難な対象に対しても、超多面体の定義を拡張することができるようになる。

抽象超多面体とは、その各次元の面からなる半順序集合で、適当な規則に従うものを言う。それは純代数的構造であり、その理論は一貫した数学的枠組みの中で様々な幾何学的クラスを整合的に扱うことが困難になるいくつかの問題を回避するために発展した。幾何学的に述べられる超多面体は、対応する抽象超多面体の適当な実空間における「実現」であると言い表される[9]

複素超多面体

超多面体の類似対応物となる構造が、複素数空間(あるいは複素ヒルベルト空間Cn 内に存在する(この空間は実 n-次元のほかに n-次元も併せ持っている)。複素正多面体英語版配置英語版として扱うほうがより適切である[10]

歴史

多角形および多面体は古来より知られてきた。

高次元に対する初期の気づきは、1827年にメビウスが「互いに鏡像の関係にある二つの立体は、第四の空間次元を通して回転させることで、一方を他方に重ね合わせられる」ことを発見したときである。1850年代ごろ、例えばケイリーやグラスマンら一握りの数学者たちもまた高次元について考察している。

多角形や多面体の高次元における対応物について初めて考察したのはルートヴィヒ・シュレーフリである。シュレーフリは六つの凸正多胞体英語版を1852年に記述しているが、その成果は彼の死後6年を経た1901年まで公表されなかった。1854年ごろリーマン教授資格論文英語版が高次元の幾何学を確固たるものとして打ち立ててより、以って n-次元超多面体の概念も是とされたのである。シュレーフリの超多面体は、彼の生前にあってさえ、数十年の間に幾度も再発見されたのである。

1882年にラインホルト・ホッペ英語版はドイツ語で、この多角形や多面体をより一般化する概念を言い表すのに Polytop という語を造語した。やがてアリシア・ブール・スコット英語版(論理学者ジョージ・ブールの娘)が英語風に polytope と改変して英語に持ち込んでいる[1]:vi

1895年、トロルド・ゴセット英語版は、シュレーフリの正超多面体の再発見のみならず、半正超多面体英語版および高次元の空間充填分割についても調べている。そのころ、双曲空間などの非ユークリッド空間における超多面体の研究も始まった。

重要な節目に達するのは1948年のコクセターの著書 Regular Polytopes英語版 で、それまでの研究史の要約にコクセター自身による新たな発見が加えられている。

とかくする間に、フランスの数学者ポワンカレが、多様体の区分的分割(例えば、CW複体)としての超多面体の位相的概念を推し進めた。1967年にブランコ・グレンバウム英語版は多大な影響を与えた著書 Convex Polytopes[11]を出版している。

1952年にシェファードは、複素空間(各実次元に各ひとつの虚次元が付随する)における複素超多面体英語版へ概念を一般化した。その理論はコクセターによりさらに推し進められた。

複素多面体、非凸性、双対性、その他の現象によって生じた概念的問題は、グレンバウムらを頂点、辺、面などが満たす抽象組合せ論的性質のより一般な研究へと駆り立てた。それに関係する考え方は、超多面体の種々の次元の各面同士の間の接続関係 (incidence, connection) によって調べられる接続複体の概念である。そうした発展を経て、それら面からなる半順序集合としての抽象多面体英語版の理論へ十分に結実した。McMullen & Schulte は2002年に著書 Abstract Regular Polytopes[12] を出版している。

四次元あるいはそれ以上の次元における一様超多面体英語版の数え上げは、凸の場合も非凸の場合も、未解決の問題として残されている。

現代において、超多面体および関連する概念は多様な分野において多くの重要な応用を持ち、それらはコンピュータグラフィック数理最適化サーチエンジン宇宙論量子力学ほか様々な分野において見つけられる。2013年には、理論物理学に関するある種に計算において構成を簡単化するものとして振幅多面体英語版が発見された。

応用

数理最適化および線型計画法の研究において、線型函数の最大・最小n-次元超多面体の境界において達成される。線型計画法において超多面体は一般化重心座標系英語版スラック変数英語版を用いる際に生じる。

理論物理学の分野ツイスター理論において、振幅多面体英語版と呼ばれる超多面体が、亜原子粒子の衝突時の散乱振幅の計算に用いられる。この構成は純理論的で物理的扱いは知られていないが、ある種の計算を大きく簡単にするという[13]

関連項目

注釈

  1. ^ なお、
整数次元
ポリトープ
その他


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